『自然な構造体―自然と技術における形と構造、そしてその発生プロセス』フライ・オットー他、岩村和夫訳

自然な構造体―自然と技術における形と構造、そしてその発生プロセス (SD選書) 作者:フライ オットー 発売日: 1986/07/01 メディア: 単行本 先日、中国の緑あふれる集合住宅というコンセプトの高級マンションで蚊が大発生し、もうろくに人が住んでいないとい…

『契れないひと』たかたけし

契れないひと(3) (ヤングマガジンコミックス) 作者:たかたけし 発売日: 2020/09/04 メディア: Kindle版 「同人誌仲間」のことばかり書いていると、作品だけを見つめた感想は難しい。 あんなウンコの漏らし方をした人間がその後、同じ職場でまともに働き続…

『いまだ、おしまいの地』こだま

いまだ、おしまいの地 作者:こだま 発売日: 2020/09/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) こだまさんの新しい本が送られてきた。 帯で酒井若菜が「読んでも読んでも疲れない」と書いている。それが褒め言葉になるかどうかはさておき、なんとなく頭に入れな…

『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』梯久美子

サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する 作者:梯 久美子 発売日: 2020/04/24 メディア: 単行本 サガレンはサハリン/樺太の旧名である。 死んだら人はどうなるか。どこに行くか。というか、この前死んだ「わたくしのいもうと」のトシはどうなったのか、どこに…

『鳴雪自叙伝』内藤鳴雪

鳴雪自叙伝 (岩波文庫) 作者:内藤 鳴雪 発売日: 2002/07/19 メディア: 文庫 制度や文化の違いはあれど、昔の人の感覚や営みが今の人と比べてそれほど変わらなかったとかは、知れば知るほどいいというか、何度も繰り返し知っていかないと、すぐに実感から遠く…

『揺れうごく鳥と樹々のつながり 裏庭と書庫からはじめる生態学』吉川徹朗

揺れうごく鳥と樹々のつながり (フィールドの生物学 25) 作者:吉川 徹朗 発売日: 2019/03/29 メディア: 単行本 このご時世、マイクロツーリズムなんて言葉も注目されているが、当地に住んでいても顧みられないものというのは沢山あって、遠出して求めている…

『「馬」が動かした日本史』蒲池明弘

「馬」が動かした日本史 (文春新書) 作者:明弘, 蒲池 発売日: 2020/01/20 メディア: 新書 古墳時代、王宮に仕える大工の名人がいて、「自分はミスをしない完璧人間で逆に苦労が多い、巨乳は肩がこるみたいな感じ」などと凄くいやなアピールをしてくるので、…

チー牛マスクの最期

その日のチー牛マスクはなんだか様子がおかしかった。もちろんそれが、巷で話題のネットスラングのせいなことぐらい、ぼくにはわかっていた。「今日も助かったよ、いつもありがとう、チー牛マスク」「お安い御用さ、西田くん」 そのお礼にすき家をおごるのが…

『木工少女』濱野京子

木工少女 作者:濱野京子 発売日: 2020/01/10 メディア: Kindle版 この前ツイッターで、あるおじいちゃんが亡くなって、孫が棺にじゃがりこを納めたので何かと思ったら、二人は家族に見つからないようによく食べていたということで、さらに後日、そのおじいち…

『ケベックの女性文学―ジェンダー・エクリチュール・エスニシティ』山出裕子

ケベックの女性文学―ジェンダー・エクリチュール・エスニシティ 作者:山出 裕子 メディア: 単行本 このブログはかつての自分に書いているようなところがあるので、いちいち説明もしていきたいけれど、カナダの公用語は英語である。ただし、フランス系の植民…

『ナチを欺いた死体――英国の奇策・ミンスミート作戦の真実』ベン・マッキンタイアー 小林朋則訳

ナチを欺いた死体 - 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実 作者:ベン・マッキンタイアー 発売日: 2011/10/22 メディア: 単行本 スパイにまつわるものをいろいろ読んでそのことを考えているうちに、小説に書き込もうかというぐらいに根ざしてきたと思い、さら…

『柳田國男全集 31』

柳田国男全集〈31〉 (ちくま文庫) 作者:柳田 国男 メディア: 文庫 最近、訳あって自分勝手に本を選んで字数も気にせず書評を書いたらすごく快く、やはり自分は書くのが好きっていうか、そればっかり楽しくて生きているし、いつからか全てそこに還ってくるよ…

『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』新発売!

ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ|国書刊行会 『最高の任務』で第162回芥川賞候補となった現代文学の新星、乗代雄介がデビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログを著者自選・全面改稿のうえ書籍化。 総数約600編に及ぶ掌編創作群より67編…

たかの2巻とのりしろの本

けっこう前に、たかの2巻が出た。 たかの2巻が出るなんて、とはもうさすがに思わないのは、たかの1巻が出た時に予想ができていたからで、順調な連載のペースに応じて出るべくして出たのだった。 何らかの創作物を見て、上手い絵だとか巧みな見せ方だとか…

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たかの1巻

たかの1巻が出た(作品の話はしない)。 たかの1巻が出るなんて、ネットでやりとりを始めた十数年前には夢にも思わなかったし、初めて会った八年前も思わなかったし、たかさんがちゃんとマンガを描いて色々動き始めていた五年前ぐらいに逆に一番思わなくな…

保坂和志さんと対談した

保坂和志さんと対談した。何が話せたわけではないけれど、保坂さんの「群像」の連載に自分のことが書いてあったので書きたくなった。 その連載の第六回のタイトルは「鉄の胡蝶は歳月に夢は記憶の彫るか」となっており、単語が固定されないで水に浮かんでるみ…

十一月の朗読

教室の南側は全て窓ガラスがはめこまれているというのに、その日の天気を覚えられていない。学活の時間を二時間とって予告されたお楽しみ会の、二週間前から準備されたお楽しみは、十名の出し物からなっていた。 その中でも、ノブヒコが楽しみにしていた唯一…

ワインディング・ノート32(サリンジャー/キルケゴール/『死に至る病』)

もう少し「星」を頼りに話を進めましょう。「シーモア―序章―」で、語られ役であるシーモアは「小説家」である弟のバディに向けてこう批評を綴ります。 なつかしきバディよ、今夜は陳腐なこと以外、何を言うのも恐ろしい気がする。結果はどうあれ、どうかおま…

ワインディング・ノート31(村上春樹/『驚きの皮膚』/cero)

とくに年若い時期には、一冊でも多くの本を手に取る必要があります。優れた小説も、それほど優れていない小説も、あるいはろくでもない小説だって(ぜんぜん)かまいません、とにかくどしどし片端から読んでいくこと。少しでも多くの物語に身体を通過させて…

ワインディング・ノート30(村上春樹/cero/細野晴臣)

この、「終わりの来ない旅」を続けるならば、永遠の入れ子構造や絶え間ない不信や矛盾に陥らざるを得ないという状況は、彼らのバイオグラフィーとも重なってくると思うのですが、思うというかそのようにインタビューで語られていたのですが、語られていたと…

石坂浩二さんがくれたドラゴン

ドラゴンはとてもかしこい生き物だ。 夕暮れ時、カーテンを閉めるついでに窓を開けてみると、春の風はなおも冷たい。明日は雪が降るらしい。 ドラゴンは、やはり大きな背中をこちらに向けているばかりだった。汚れた猫の額ほどのベランダで、エアコンの室外…

ワインディング・ノート29(世阿弥/サザンオールスターズ/cero)

で、実にそんな感じで作品に自己を投影しないようにやってきたのですが、この一年間に、自分をバリバリに投影して読んでしまい、この通りに生きようと思ってしまった本が二冊だけあります。 それが、世阿弥の『風姿花伝』と、村上春樹の『職業としての小説家…

ワインディング・ノート28(村上春樹/『職業としての小説家』/フィリップ・ロス)

僕は、村上春樹の熱心な読者ではありません、と書いたところで、そのくせほとんどの本を読んだことがあるし、たくさんの啓示を当たり前のように受けてきていることに気づきました。 それでも、 熱心な読者ではないと何の逡巡もなく余計なことに口をすべらせ…

ワインディング・ノート27(こだまさん・吉田健一・坂口安吾)

黙っている間に集団的自衛権に関する閣議決定がなされ、「カツマタくん」はクソをひり出すように続き、僕は群像新人文学賞をもらい、夏の甲子園が始まり、こだまさんの文章が活字になり、甲子園が終わり、堀北真希が結婚しました。 それなりに忙しくなる、人…

ワインディング・ノート26(『IMONを創る』・いがらしみきお・(笑))

今回から2,3回ほどの予定で、IMON3原則の最後"(笑)"について述べたい。 これまでほかの2原則である"リアルタイム"、"マルチタスク"の意味と効用について述べたわけだが、たぶん「むずかしい」、「よくわかたない」、「夏バテになった」などの感想が…

ワインディング・ノート25(『IMONを創る』・いがらしみきお・カント)

それでは、ソフトの問題はどうなのか。 かつて人間には"我々は何者なのか"というソフト上の問題があった。ゆえに、そこここで若者やオジサンが、"人生とは"とか"生きることとは"とか、"愛とは"についてコジツケた理屈を言っていたものである。 今はどうなの…

いもとアネモネ

私と妹に別々の部屋はない。妹が小学校1年生に、私が3年生になった頃から一つしかない子供部屋を二人で使うようになった。 勉強机は、ちびまる子ちゃんの部屋と同じように置かれていた。はじめの頃は、ほとんど机に座ることもなく、部屋の真ん中で二人、い…

ワインディング・ノート24(『IMONを創る』・いがらしみきお・人間関係)

GーIMONとはなにか。 我々にとって儀礼というものは、意味の記号化という、ファイル圧縮であった。つまり、リアルタイムの項で述べたところの、あのファイル圧縮である。 我々は年始の挨拶を年賀状という形でファイル圧縮して処理するし、日ごろのお礼…