大江戸飼い鳥草紙―江戸のペットブーム (歴史文化ライブラリー) 作者:細川 博昭 メディア: 単行本 本書はその名の通り、江戸時代の鳥飼いの流行について書かれている。 そもそも江戸時代、鳥は今よりもっと身近な存在であった。森林から断続的に残されている…
神様がサッカーを変えた 作者:岸田 光道 メディア: 単行本 フィクションの登場人物の名付けというのはよくわからない。 よくわからないから、付け方もその都度ちがっていて、まあでも実際に名前というものはそんな風につけられるのだから、このままよくわか…
働く男 (文春文庫) 作者:星野 源 発売日: 2015/09/02 メディア: 文庫 書かれていること自体がとくべつ面白いというわけではないと言えば語弊があるが、星野源という人間に対する興味を倍増させるほどに文章が光を放っているわけではない。 それでも、自ら「…
今は穏やかで、ついでに言うと一時期の日本一汚いという水質も多少は改善されたが、千葉県我孫子市にある手賀沼のあたりは、四百年ほど前から利根川の氾濫による水害に悩まされてきた。 そもそも川というのは自然な水の流れに人が堤防をつくったものでは全然…
今日を歩く (IKKI COMIX) 作者:いがらし みきお 発売日: 2015/03/13 メディア: コミック いがらしみきおは、15年以上、雨の日も風の日も雪の日も、毎日、家の周囲の決まったコースを歩き続けたという。今も続くものかわからないが、2014年から2015…
旅する練習 作者:乗代雄介 発売日: 2020/12/28 メディア: Kindle版 (ネタバレみたいな要素もあるので、『旅する練習』を読む前に読まない方がよいかもしれません)
旅する練習 作者:乗代雄介 発売日: 2020/12/28 メディア: Kindle版 感謝といえば、このいまいち目的のわからない長い文章の最後に、今回の旅路を歩いている時、また書いている時に聴いていた宮本浩次への感謝を書いておきたい。 我孫子から鹿島へのルートを…
旅する練習 作者:乗代 雄介 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 https://tree-novel.com/works/episode/4e10f1331de8b606ab925ba9ab72c64f.html「装幀のあとがき」なんてものを読む機会が来るとは思わなかった。 装幀について何か言ったことはない。全てお…
旅する練習 作者:乗代 雄介 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 慣れ親しんだスパイクやペンは確かに具合がよくて、それでなくっちゃダメだと思える。とはいえ、そもそもスパイクが筆記具が足に手に馴染んだところで、ボールや文章が意のままに操れるわけ…
旅する練習 作者:乗代雄介 発売日: 2020/12/28 メディア: Kindle版 文芸誌か何かに載せてもらえる以上は完成とせざるを得ないけれど、小説には、入れるつもりはなくともそれを書くという行為のうちに含まれなければならない文章というのが沢山ある(と思って…
旅する練習 作者:乗代 雄介 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 (結果はともかく予約連投されるようになっております) そんな感じで、人間の営みとは何であるかと考えても何か答えがあるわけではないし、小説になったところで答えではないけれど、考える…
旅する練習 作者:乗代 雄介 発売日: 2021/01/14 メディア: 単行本 それというよりは、それを書いていた時のことを、今回については、今回に限った個人的な事情がために書いておきたい。別のところでも何か書いているので、甘くしかかぶらないように。 20…
トンネル 作者:ベルンハルト・ケラーマン 発売日: 2020/09/05 メディア: 単行本 国書刊行会でこのブログの本を出そうと動いていた時だったから、刊行のけっこう前に出ることを知ったと思う。「トンネル」のことを記事で書いたこともあったから、編集者が教え…
ウォークス 歩くことの精神史 作者:レベッカ ソルニット 発売日: 2017/07/07 メディア: 単行本 歩行の歴史――あらゆる時と場所、フィールドにまたがって、歩行をしてきた人間どもの記録だが、人間みな歩ければ歩くのだから、その中で、歩くことに特別な意味を…
五つ子―その誕生と成長の記録 (1977年) 作者:山下 頼充,浜上 安司 メディア: - 文學界2020年8月号で、磯﨑憲一郎さんと対談した。 コロナ禍、緊急事態宣言が解かれて少ししてお目にかかるという状況だったが、家から出ない間は、対談準備の本が読めて楽しか…
二列目の人生 隠れた異才たち (集英社文庫) 作者:池内 紀 発売日: 2008/09/19 メディア: 文庫 本書はなかなか思い出深く、油屋熊八とともに湯布院を温泉地にした中谷巳次郎の話を比喩に借りたこともある。そんな例は山ほどあるが、引用文献のように出すわけ…
スタジアムの神と悪魔―サッカー外伝 作者:エドゥアルド ガレアーノ メディア: 単行本 本書は一時期、久保建英が移動中に読んでいる本として話題になった。みすず書房の本を読むフットボーラーなどまずいないからだ。読書家で知られた元レアル・マドリーのエ…
旅するケンタとサクラの目の前に現れた謎の少年! 何を聞いても「それ、うめぇのか?」と繰り返すばかりの野生児と粘り強くコミュニケーションを図ろうとする二人にも、さすがに疲れの色が見え始めるのだった!「これでは埒が明かないな……」「まさか、こんな…
那須正幹・舟崎克彦・三田村信行 (現代児童文学作家対談) 作者:神宮 輝夫 メディア: ハードカバー この毎週日曜8時に更新するようになっている書評だかなんだかで表題になっている本は、一連の考え事が始まるきっかけになった本というだけで、読んでもなか…
作家の仕事部屋 (1979年) メディア: - 私が好きなのは、該博な知識を駆使した仕事ではありません。私は図書館が嫌いです。図書館ではほとんど本が読めないと言ってもいいほどです。重要なのは後楯となるテキストとの、直接的な、現象学的な接触なのです。私…
松本隆対談集 『KAZEMACHI CAFE』 作者:松本 隆 発売日: 2005/03/19 メディア: 単行本 亡くなったから書くわけでもないが――と言っても亡くなったから読み返した以上、亡くなったから書いているのだろう。 誰が相手でも興味深い話の連続である本書には、筒美…
佐倉牧野馬土手は泣いている (続) 作者:青木 更吉 メディア: 単行本 前に成田の辺りを歩いていたら、こぢんまりとしているが手入れの行き届いた寺があった。説法山多聞(門)院という。観音堂と小さな大師堂があり歴史も古いようだが、何より一番目立つのは…
鷗外随筆集 (岩波文庫) 作者:千葉 俊二 発売日: 2015/01/22 メディア: Kindle版 昔から、これに入っている「サフラン」が好きで、時々本棚から出して読む。「これはサフランという草と私との歴史である」という文にまとまる随筆だが、歴史といっても短く、す…
記憶よ、語れ――自伝再訪 作者:ウラジーミル・ナボコフ 発売日: 2015/08/07 メディア: 単行本 自分が見るなり思い浮かべるなりした光景を文にして、それを読んだ誰かが光景として頭の中に立ち上げる。基本的にはそういうイメージの伝言ゲームに関わっているわ…
僕の知っていたサン=テグジュペリ 作者:レオン ウェルト 発売日: 2012/09/01 メディア: 単行本 芸能人の自殺の報が多い。本人のことは何もわからないけれど、自分と同じような情報しか持っていないはずの人々からかなり色んな言葉が出てくる。ちょっと見ただ…
息抜きに書評を書きためて少しずつ出している。色々済んだ時、本棚を眺めてこれはと目についたものを手に取ってちょっと読んで書いたりして、書けたりして、amazonの商品紹介でも貼り付けようとしたらもう売ってないものも多い。こうなると本代の足しになれ…
自然な構造体―自然と技術における形と構造、そしてその発生プロセス (SD選書) 作者:フライ オットー 発売日: 1986/07/01 メディア: 単行本 先日、中国の緑あふれる集合住宅というコンセプトの高級マンションで蚊が大発生し、もうろくに人が住んでいないとい…
契れないひと(3) (ヤングマガジンコミックス) 作者:たかたけし 発売日: 2020/09/04 メディア: Kindle版 「同人誌仲間」のことばかり書いていると、作品だけを見つめた感想は難しい。 あんなウンコの漏らし方をした人間がその後、同じ職場でまともに働き続…
いまだ、おしまいの地 作者:こだま 発売日: 2020/09/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) こだまさんの新しい本が送られてきた。 帯で酒井若菜が「読んでも読んでも疲れない」と書いている。それが褒め言葉になるかどうかはさておき、なんとなく頭に入れな…
サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する 作者:梯 久美子 発売日: 2020/04/24 メディア: 単行本 サガレンはサハリン/樺太の旧名である。 死んだら人はどうなるか。どこに行くか。というか、この前死んだ「わたくしのいもうと」のトシはどうなったのか、どこに…