2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

回文

テレビでやっていた回文、中でも「俺と森本レオ」が自分的に大ヒットしてしまった小池健介、十八歳、俺が一生かけて成し遂げる仕事はこれしかないとばかりに家を飛び出した。 別れの言葉は健介の初めての作品、 「グッバイバッグ」 健介はめくるめく回文の中…

朝のお天気クミコにおまかせ(たかさんの「お天気キャスター」から二作目)

クミコの天気予報は今日も、マリオ3の中ボス、ブンブンが出てくる時のテーマで始まった。クミコは開口一番、 「こんな天気なんか気にしてる暇あったら歯を磨けグズども、てめえら口くせーんだよ。あと、そこの歯磨きしながら見てるお前、今得意な気持ちにな…

岐阜県のお天気(たかさんの「お天気キャスター」から)

お天気キャスターが「天気をお伝えします」と言った時、岐阜県民のみなさんは当然油断していたに違いなかったので、岐阜県のところに出されているべき晴れのち曇りや最高気温や最低気温などの表示がまったく無かったのを見てショックを受けたのなんの。その…

書道教室(iru35711さんからいただきました)

まず、『元旦』と書いた生徒が、師範の赤い墨汁で顔をベッタベタにされた。 「みなさん、見ましたね。今の彼の、失態を見ましたね。まるでダメです。みなさんのようなド素人が、どう書くか、と悩むのは十年早いです。十年早い。私はこれをバーチャファイター…

これがモスバーガーだ!

ぼくはホッした。モスバーガーを食べ終わったからだ。たまに紙の底に残ったデロデロまで残さずなめる人がいるけど、それがぼくだ。 もうこれで、ぼくの口の周りがこんなにも汚れてしまうことは、次にモスバーガーを食べる来月までない。ぼくは毎月、極限まで…

堀田よ、フリスビーを投げろ

「『フリスビーを投げてもすぐ斜めになって、しまいには縦になって遠くへ転がっていってしまいます、とほほ』という自己紹介文を書いたテルオ君も、今や、『大学のキャンパスでフリスビーを友達としている時も、真っ直ぐ飛んでいって、そばを通る女子大生(…

噴火を止める山島さん

噴火噴火、今日にも噴火する、と言ってれば噴火もするというもの。島のど真ん中に位置する山は見た目にも熟れたトマトのようにパンパンになって、お昼までもつかどうかというのがみんなの総意だった。 こんな時、いつもいつも島を救ってきた山島さんの得意技…

「ぼくがことばを使うときは、だよ」ハンプティ・ダンプティはいかにも人を馬鹿にした口調で、「そのことばはぴったりぼくのいいたかったことを意味することになるんだよ。それ以上でもそれ以下でもない」 「ただ問題は、そんなふうにことばにやたらいろんな…

パペットおじさん

手を突っ込んで操る式のぬいぐるみで腹話術をして口に糊する元ヤクザがいましたが、彼は組で粗相をして右手の小指がありませんでした。そう、これでは右手にはめたぬいぐるみの右手が動かせないのです。しかし、園児の前ではそんなこと言うわけにいきません…

ゴー、下條、ゴー

人生でまだ一度もボートを漕いだことが無い下條。別に行かねえけど、彼女が出来て湖に行くのに備えてボートを漕げるようになっておきたい、別に行かねえけど。とにかく、湖があってボート乗ろうよとなった時に、自分がボートを漕げるのか漕げねえのかは把握…

ゲットバック、お姉ちゃん

「ちょっとコンビニ行くけど、買ってくるものある?」 お姉ちゃんの言葉の何気なさが、逆に僕のシックス・センスにツーンときたんだ。これは何か、国家的なFBI的な陰謀を後ろにまわした罠に違いない。見ろ! お姉ちゃんの格好は、いつどんな凄腕スパイが…

男ならやってやれ

旅するVC3000のど飴、ビタミンC之助が町を通りかかると、一つの看板が目についた。 『ボク対トラ 7/2 15:00〜』 C之助は自慢の腕時計をキラリと光らせ、ちょうど3時のあたりについている小さな小窓に書いてある数字を確認した。そこには、2と書い…