2012-01-01から1年間の記事一覧

大人になれば

ただ、恋人と腕を組んで歩いている、というそれだけの理由で、おちつきはらってあたりを見回していた少女。フランツ・カフカ 自信を持つのは良いことだ。いつかパパがお風呂で言った。湯船の中、私はパパと同じ方を向いて足の間に収まり、その言葉を聞いてい…

友人訪問

時流れて有りや無しや志半ば、途轍も恥なくジジイと変じた私ですが、ハイパアヨーヨー・ステルスレイダア一つ持って池尻君の宅を訪ねようととバスでもって馳せ参ずらんと試みるも、何分今度が初めての事でバスの乗り方一つ皆目見当がつかず非常に骨が折れ、…

役に立たない音楽が鳴る

母親に牛乳を頼まれて、高校1年の樹一(じゅいち)は身を切るような寒さの中をしぶしぶ出かけていった。 すぐそこにあるコンビニでの買い物をお母さんは許さない。公園を横切って行くとスーパーへの近道だ。近辺ではなかなかの広さを持ったその公園には、中…

「デザートわっしょい」をわっしょいする

もう一つは、独創と模倣の関係についてのものである。人間が一切がっさい自分で創作したものよりも、他人から借りたものを用いて創作したものの方に遙かに優れた独創性がみられるということである。もしこれが正しいとすれば、模倣の容易さから、一流よりも…

私の本棚

あんなにドキドキした、私と同い年ぐらいの女の子たちが繰り広げるボルテージ高まるばかりの恋やら愛やらほにゃららを描いたマンガはなんだか遠くなってしまった。 あんなに愉快だった、豊富な性的知識でお姉ちゃんをバカにしながら陰日向に知識を授けるステ…

子牛担当

僕が膝ノ裏ファミリー牧場を去ることになった日のことを話したいと思います。 僕は14時の鐘がガラランガランと鳴ると、いつも通りかわいい子牛たちを連れて牛舎を出て、丘を登っていきました。子牛たちは尾をぱたぱた振って僕のあとをついてきて、時折うわ…

卒アルは浮く!!

晴れ渡った空に太陽がギラギラとここはハワイ。行ったことはないけど、主にさまぁ〜ずの番組で雰囲気を勉強したので書くことが出来ます。 そんなハワイで今日は待ちに待ったサーフィン大会の日、卒アルを縦に三つ(小中高)つなげた自慢のサーフボードを抱え…

レギュラーピエロ争い

三流大学受験におもしろ消しゴムみそラーメンを持って行き忘れて失敗し、親からも「働け!穀潰し!」と責められた小谷は、学ラン姿で茫然と街を歩いていたところを謎の女に声をかけられた。 「君、大学落ちたでしょ」 「え?」 「ピエロにならない?」 それ…

密室ゲーム(下)

マチャアキはメモ帳を取り出し、咳払いをしてから読み上げた。 「ルールは簡単。4択クイズです。ABCDの中から正解と思うアルファベットを選んで解答してもらいます。お二人ともに同じ問題が出るので、それぞれ答えてください」 僕は黙ってうなずいた。…

密室ゲーム(上)

「う、う〜ん。どゆこと!?」 誰とでも友達になれるタイプの僕が目を覚ますと一面の濃ゆい緑に目がくらんだ。全身に痛みが走った。 そう、僕はさらし首が如く卓球台の一方の面の中央部からひょっこり顔を出していたのだ。ひどく狭い部屋らしく、卓球台のへ…

音楽・準備・輪廻

楽器がいっぱいつまった音楽準備室で、ぼくと大橋くんは息を潜めていた。 隣の音楽室からはピヤノの音が聞こえてくる。 曲にならない、途切れ途切れに一つずつ鍵盤を押す音だ。でも、一つ押すたびにハクいスケの笑い声が聞こえてくるので、ぜんぜんさびしく…

うちで飼ってたヒグマ

この春、いつも明るい金持ち二百二階堂家の白い大理石は心なしかくすんで見えた。 問題は、飼っているヒグマのドベリンである。ドッジ弾平ぐらいの大きさだった小グマちゃんのころから育ててきたドベちゃんは大事な大事な家族だったが、かなりの難病にかかっ…

鈴鹿で一言

「投げても飛ばないセミは本当に終わり」が座右の銘のF1ドライバー、四輪駆動ワタルの半生は、 「まるでこのヘアピンカーブを曲がるみたいだったぜ!」 と叫びながら、色とりどりのボタンがいっぱいついたハンドルを左に二十回転させるワタル。見事に、女…

ぼく脳「ぬり絵教室」

僕の笑いを目指した創作物に関する観念を言葉にするなら「物語の中で脈絡のないものにリアリティを感じられるか」というものです。笑いに限らずなんでもそうかも知れませんけど。 みんな知らない世界を見たがっているけど、知らない世界でもメチャクチャすぎ…

マーズ・アタック!

そこは先輩の部屋。僕の家にきた宇宙人と同じ宇宙人が二体、先輩と何か話している。火星人だ。 「だって俺の場合さぁ。この惑星(ほし)に生まれてさぁ」先輩は両手を後ろにつき、体育の時にリラックスした男子高校生のような体勢でいながらも、心は戸惑って…

社長の息子マジックショー

社長の息子は前に出てくると、日高屋に通い慣れた人みたいな横柄な態度で五年一組の三十六人を見回した。 ならんだ机のまん中あたりに座っている亀山ノブヒコは、両ひじを突いて不満げの顔で、その憎き小さい、小さいダブルのスーツをじっと見つめていた。 …

自分の好み

生かしておいているやつで一定のクオリティのありそうなものは1日1個のせていきます。

ませてないガキから退場

既に、鼻血を出してぶっ倒れてしまった子供たちが何十人も医務室に担ぎ込まれていた。残っている子供は、五人。各々、やや斜めを向いて腕を組み、野球帽のツバを後ろに向けたいわゆるスケベかぶりで、鼻の穴をふくらませている。 「パンチラ」 スタジアムの…

ぼくのお母さん

「冷蔵庫に貼ってあるホワイトボードのマーカーが出なくなったの。ペンに磁石がくっついてるやつ。あんた買ってきてちょうだい。どうせヒマでしょう。頼んだわよ。磁石がくっついてなかったらいらないから」 ちょっとちょっとお母さん! せっかくの日曜日に…

ウエスタン

皆さんには夢がありますか。 僕の夢は、強いて言うならいつもカッコ良く登場すること。決して、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンしてしまうのではなく、頼んでもないのに列車の後ろから登場したり、呼ばれてもないのに暗闇に座ってたり、いきなり「50…

まことハンター

まことハンターは河童を生け捕りにしようとしている。 過去にツチノコ、天狗、クロアゲハなどを生け捕りにしようと奮闘し、スカイフィッシュの時はくそつまらないDVDまで参考にしてきたまことハンターであったが、さすがにバカらしくなり河童に関してはあ…