2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

タカ夫と剣道部

きちんと「剣玉で」と書いたはずなのに、「何卒」と書いたのに、タカ夫は剣道場に通された。さらに、控え室には剣道の防具一式が用意されていた。湿気のある室内はさながら小手の中である。 タカ夫は腕組みして脳を活性化させた。これはマジで間違えたのか、…

パー憧れ

「現場に急行せよ急行せよ!」 カッキーマンは、誰も命令してくれる人がいないので自分で言うのである。景気がついてきたので、フロントガラスを洗う水を噴き出すスイッチを押して秘密機能がついている雰囲気を堪能すると、ぐっとアクセルを踏んだ。車は速度…

偏差値

俺達の高校は偏差値が低い。それはわかっている。でも、たとえ偏差値が低くても、偏差値60あるかないかのように見られたいのが人情。ほうっておけばどんどん頭の悪そうな奴らが入学してくる現状に歯止めをかけようと、番長クラスの学生達が集結し会議が開…

印象派 〜俺達はきっとみんなチンパンジー〜

「1600円もするの? とおっしゃっています」 黒いスーツの男は、周りにいるおじさん達に向かって知らせた。顔を見合わせあってざわざわするおじさん達は、こう見えて、これを読んでいるお前らの数百倍は勉強が好きな大学教授たちである。 「すぐそこの上…

『朝太郎伝』を読んでいる

おもしろいこともあんまりない世の中なので、公務員試験勉強がてらセンター試験を解いたりしていました。年配の女性はとにかく身長を聞いてきます。 国語 194 英語 168 日本史 62 世界史 46 地理 58 逆に中年の男性は小学生にすぐ「クラスで身長何番目だ」と…

女飛んだ 嗚呼 あなにえや

「パパ様、今日は僕は広きお庭にて凧揚げをしとうござりまするえ。それもとびきり大きいの。そんな気分にござりまするえ。えっ、えっ」 僕がおねだりすれば、パパは侍るしか能無き蔵人どもに手当たり次第に物投げつけて、 「でかい凧を持て!」 と命令されま…

たぬきの泥船

むかしむかし、とにかくたぬきの泥船が一向に進まなかった。しかし当のたぬきは無駄に大きな泥船の甲板の上に立って腕を組み、 「目算、あと二百メーターはいける」とかなんとか言っている。 うさぎをはじめ、きつね、おじいさんおばあさん、そのほか周りで…

みんな生きててくれー!

「うおおおおお!」 わけあって戦いに遅れた俺は、ジャージ姿で、刃を上向きにした錆びた包丁を前に突き出しながら、魔城の中を駆け抜けていた。モンスターは見てみぬ振りをしていた。「絶対やばいよアイツ」という声が聞こえる。 「みんな生きててくれー!…

空から女の子が降ってくる

僕はまず、それはとてもきれいな名字だと思いました。 「私は空美さんに一輪車を教えてあげたいです」と長谷川さんが言いました。 「もう乗れるかもしれないだろー」と塚くんが言いました。 「空から降ってくるぐらいだから、一輪車なんて知らないもん」と長…

チン毛イカ男くん

私の名前は、巨乳毒マダムです。所属する「最悪の組織」で、女としては上り詰められるところまで上り詰めた私は、月に一度の定例会議で議長を務めています。月末に行われるこの会議は、来月に行うとにかく最悪な行為を決定するのが目的です。 「はい」 「は…

マーズ・アタック

そこは先輩の部屋。僕の家にきた宇宙人と同じ宇宙人が二匹、先輩と何か話している。火星人だ。 「だって俺の場合さぁ。この惑星(ほし)に生まれてさぁ」先輩は両手を後ろについて、体育の時リラックスした男子高校生のような体勢でいながらも、戸惑っている…

地球最後の日

棺桶の形をした超巨大宇宙船の中で、地球人たちが、ぎゅうぎゅう詰めになっていた。 今、地球には、巨大隕石が四方向から迫ってきている。どれ一つとっても、地球を貫通する勢いをもった今宇宙で一番ノっている隕石であるというのがNASAの発表であった。 そ…