2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『地上最強への道』大山倍達

地上最強への道―大山カラテもし戦わば (ちくま文庫)作者:大山 倍達メディア: 文庫 戦績にゴリラやクマ、マフィア、指名手配犯が並んでいるだけで、人生はとても豊かになると思う。また、ライオンやトラと戦わばという詳細なシミュレーションはいやが応にも一…

練習あるのみ

真剣白刃取りが飛び出した瞬間について、マス大山自身がその著書『地上最強への道』の一つの章「われ凶器と戦わば」において情熱的にしたためておられる。その瞬間、白刃取りをした大山もされた南田もちっちゃい声で「あっ」と言ったという嘘みたいなほんと…

べしゃり脳味噌ブラックホール

「最近なんかおもしろいことありました?」 成蹊大学を卒業したクソ女子アナが差し出すマイクに見つめられて、俺のちょうど反対側に座っているマックイーン小橋の瞳がにごった。 この時点で、俺の中に二つほどの選択肢が爆発的に誕生していた。一つは「そん…

強盗だボタン

太陽にさんさんとライトアップされて「東京三菱UFJ銀行」のJの字が輝くそんな昼下がり、のり子はいつものように元気いっぱい窓口業務を続けていたが、朝から数えて五十発目のハンコを押したとき、突然、神の啓示のように、パンストをかぶってグラサンを…

古墳時代の教訓話を一席

日本人がまだ墓のでかさを偉さと考えていた頃、一回タヌキが異常発生した。 山の神のストレスがタヌキに顕著に現れたんだ、タヌキは山のニキビだ、愉快な吹き出物だ、と考えた大王は、気晴らしに、屈強な男たちによる喧嘩の試合を見たくなり、配下の者に即時…

『しんぼる』松本人志

奇しくも、僕が説明したことが正解であったことを証明する映画になってしまった松本人志監督の『しんぼる』。 反省のため見ていこう。一緒に見ていこう。真面目に考えていこう。 ネタバレしつつ考えていこう。数個、おもしろいところはあった。

朝マック社会への進出

朝もやの八時、世にもなめらかなMのマークを横目に会社へ向かう。生まれてこの方、朝マックの幸福のシャワーを浴びずに生きてきた俺が朝マックすることなんてことがあるのだろうか。飯を食わずに20分早く家を出てパンなのか肉なのかわからないものとコー…

どろりさんに捧ぐ

指定された住所は、家系図を市販化せんばかりの歴史ある武家屋敷。間違いない。扉がウッド調の音をたてて自動で開いた。ここで早くも、友達がしていたのと似ていたのをクレジットカードで購入した黒い手袋をはめこみ、サングラスをスイスイと下ろしながら小…

京浜東北線がボクシングトレーニングに最適な三つ四つの理由

プシュー、ガガッ、ガ、プシュー、ガッ。 「どこのリーマンだよコンチクショウが!」 京浜東北線大船行きのドアがなかなか閉まらないのを、先輩は人のせいにしている。実際は、先輩が最高尾のドアのところで、パンチを出し続けているからプシュープシューい…

編集部と職人カタギはせめぎあう

「ダメだまたエレベーターの話だ。編集長、またエレベーターに閉じ込められる話です!」 FAXの前でもう勘弁の体勢になった新米編集の声に、編集部が揺れた。偉い椅子にめりこんだ編集長がすかさず声をかける。 「落ち着け、新米君。軽々に決め付けるのはよく…