2008-01-01から1年間の記事一覧

水が、水が

つけていたテレビがいつの間にかミニ旅番組になっていてつまらないのはともかく、今は水面の上昇のことの方が先だ、そうだろ、という雰囲気が充満していた。豪華客船の下の方、デッキに出るのに一番めんどくさい場所に位置するその客室には、船内でも一番早…

デイヴィッド・山田フィールドとインチキダヌキ

デイヴィッド・山田フィールドは幸せいっぱい夢いっぱいの世の中を取り戻すため、主に筋肉と反射神経と落とし穴と石で厳しい戦いを生き抜いてきたが、いくらなんでもそろそろ武器が欲しくなった。それは、服に興味の無かった高校生が大学に上がった途端に衣…

そんでマナブどうしたって?

非常に食いやすい。アジの開きの右んとこが非常に食いやすい。マナブは自分を責めた。どうしてこんな簡単なことに今の今まで気づかなかったのか。マナブのポロシャツは涙で濡れ、飼い犬の食欲が不思議とわいた。アジの一番左上のとこはすげえ食いにくい、な…

なめていると思われますよ

先輩が屁をこくと、コウモリが一斉に飛び立って洞窟は大騒ぎ状態になった。先輩は、めんごめんご、とスラップスティックに言いながらなおも先に進んだ。 「先輩、洞窟で屁をこくと、洞窟の神様にバカにしていると思われますよ」僕は言った。 「うるせーよ。…

ストップ地球温暖化アンド限りある資源を抱きしめてソイヤソイヤ

子供達が、それぞれ精一杯のやり方で温暖化をストップさせて地球を守ろうよという、ストップ地球温暖化アンド限りある資源を抱きしめてソイヤソイヤフェスティバルが、町内の一番広いところで開催された。 「そして僕はマイ箸を握りしめ、夕日に向かって歩き…

棟梁は弁当と一緒に梁の上

家は骨組みが完成したというところだった 。二階部分の梁の上にいる棟梁は、そこで弁当を立ち食いしていた。これは棟梁の七つある大工奥義の一つ「高い分うまい」、僕たち下っ端ヤングマン大工マンたちは、地上で弁当を食いながら、棟梁の美しい立ち食い姿を…

ロボ山の秘密

大人気小説家、ロボ山龍之介デラックスの家に訪れた記者とカメラマンは、どことなく火星人に似ていた。しかし、ロボ山は快く彼らを迎え入れ、水ようかんまで出した。天気とか水ようかんの話とかして場がこなれた瞬間、いきなり記者は切り込んだ。 「実は、ロ…

カレー小僧キヨハル

「ルーをよく見ろ!」 今日も師匠の声がキッチンに響いた。俺の名前はカレー小僧、キヨハル。毎日、定職にもつかず、カレー道場でカレーライス師匠の厳しい特訓を受けている。カレー選手権を明日に控え、練習も甘口から中辛へシフトアップしていく。 「48…

甘えるな甘えるな師匠

「助けてー!」 貧弱な子供達はサッカーゴールを皆で持っていっせいに叫んだ。 「誰か助けてー!」 少し離れた小高い丘の上で、甘えるな甘えるな師匠は、背後に勢ぞろいした若い母親達をにらみつけた。 「御覧なさい。あなた達の子供達の軟弱なあの様を、御…

再開と説明と追い込まれた火の玉ボーイの立場について

あの火の玉ボーイが帰ってきた。一ヶ月半前、かっこいいと思って更新を停止したそこそこのブログ「ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ」が、この一ヶ月半の間特に何も無いまま、格別おもしろくなったわけでもなく漠然と更新を再開する。 その期間、mixiで…

感謝の言葉を最後まで(for the superstar!)

今日も別のメダカが水草に卵をなすりつけたので、僕は泣いた。誰かお願い胸の鼓動を止めてくれ。オリンピックの総集編にいい加減飽きてきた頃にも関わらず、僕はまた「感動をありがとう」と呟いていた。 メダカにとっての卵は、ヒューマンにとって赤ちゃんの…

ピンポンパンポン奴が死ぬ

ターゲットは高級マンションの最上階に住んでいる。奴はS級の殺し屋。普通殺し屋は、すぐ逃げられない高層マンションには住まないとされるが、最近のマンションは殺し屋も安心して上のほうに住めるほどのセキュリティーを備え、ハイグレードな都市生活を六…

お前なんか忍法で

鬱蒼とした森の中のエッセンスがここだけ濃縮して怖い、なんかもののけ姫みたい、そんなところにニンニンアカデミー(忍)はある。ここでは忍者の卵たちが一人前の忍者になるため、自分達のことを決してニンタマと言わずに日々訓練をつんでいる。ニンニンア…

ある日のサークル

「俺は筆美ちゃんに告白する。だからみんな手伝え」 サークルのサークル長(筆者はサークルのことをよく知らないのでサークルとはいったい何でそんでサークルの中でどういう役割があったりなかったりするのか知りません。大学の学食のメニューも全然知りませ…

冒険野郎新記録

大地が割れていたら、冒険野郎としては、向こう側へ向こう側へのバイオリズムが全身を駆け巡る。住んでいるマンションの一階にコンビニがあるとしても、少し遠い大地の裂け目の向こう側のコンビニへ、それが冒険野郎の心意気だ。血が出るまでは無茶を、あな…

僕はディナーショーになんか来なきゃよかった

お笑い芸人を目指して東京に来て半年、僕は色々なことを知った。当初の予定では来年にでも吉本のNSCに入ろうと思っていたが、今になって僕の心は揺らぎに揺らいでいた。 僕はこの半年間、バイトでためたお金でお笑いライブを見まくるという体に負荷をかけ…

国王と畑中

気付いたらエイリアンが、顔面すれすれ30センチ、ゲームボーイをやる時のゲームボーイの位置まで近づいていた。 「危ない、畑中!」 俺の体を、危機一髪のところで国王が突き飛ばした。エイリアンがもの凄い勢いで俺のぬくもりを通過した。 「痛ェ、なにす…

浅草寺んとこで見た猿まわし

もう何匹目かわからないが、またサルが逃げた。バク宙を三回して興奮してそばの松の木に飛びつき、そのままどこかへ行ってしまった。 「次のサルは、ライガーくんです」鼻のでかい猿まわしの人は、そう言いながら、テントの中からサルを一匹引っ張り出した。…

ライバル偶然に相会う

ウォーターサーバーにはランクの高い水が入っている。上部に取り付けた容器をスケルトンにし、何のありがたみもなかった水を見せつけるという逆転の発想。 今日こそはやってやるぜ、今日こそはランクの高い水をさも家にあるかのように、飲む。ザ・私立エッセ…

コウイチ、宿題は終わったのか

両親が食事をしていると、コウイチが食卓に降りてきた。 「コウイチ、宿題は終わったのか」と父親。 「全部解けるまで、夕ご飯はお預けのはずよ」母親も言った。 コウイチは椅子を引いて腰を下ろすと、箸を持ち、味噌汁の椀を持ち上げてすすった。ご飯も一口…

そんなの当たったら普通に危ないけど大丈夫だって

マサトの前髪はすでにガチガチで、まっすぐ上を向いている。ヘアスプレーの残量は、フィーリングでいうと、かなり来るところまで来ている。なんとなくピチャピチャいってる。マサトはスプレー缶を振って前に進みながら、次の狙いを定めた。 「林、お前だ!」…

最近の出来事

京都に旅行した。帰ってきた。 俺達人間どんどん飽きちゃうものだよなと考えていると、ますます色んなものに飽きてくる。飽きる感覚が研ぎ澄まされて、ネットや読書など、あっ飽きてると気付いてますます飽きていく。飽きてるのにちょっと嫌気がさすのは、ま…

僕の二の腕の嵐

次々と、イレズミをした男達が僕の横を通り過ぎていく。あまり次々と通り過ぎるので、僕は誰がどう見ても邪魔になっている。男達が向かう先には、飲み物をもらうコーナーがあるのだ。 僕は男達のむき出しの腕を観察する。当然、イレズミがお目当てだ。僕はそ…

ああ終わった

『よつばと3歳児くん』のはとりあえず終わったので、一回全部消して一つにまとめます。もう載せないかも知れないけど。

マサオさんは剥き出しのクオーター 〜母方のおじいちゃんが人間〜

新しい宇宙船で、ハンガーをかけられるパイプのついたクローゼットがあるのは、その部屋だけだった。一畳半ほどの長細い空間に、パイプが渡っている。 「どうする、これじゃ狭すぎるか……?」「さすがにこれじゃあ……」「やっぱり別に部屋が必要よ」 乗組員の…

俺にもSF書かして!(Sukoshi Fuan)

みんなSFでごちゃごちゃモメてて楽しそうだな! 俺もまぜてくれよ! SFのこと、よく知らないけどな! 全然知らないけどな! まず、SFを書くにあたり、どういうものを書くかによるけど、基本的な知識はないといけないと思う。俺はこういうのはちゃんと…

僕の無視日記

7/8 今日もまた無視してやった。隣の家のおじさんをまた無視してやった。「おはよう」を無視してやった。やっぱり最高だ。無視するのは最高。おじさん、鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔しやがってあのハゲ。おかげで一日気分が良かった。だって、「おはようご…

僕は中学受験に失敗する

スーツで決めた塾の先生は、いつものように一言も発さずに部屋へ入ってくると、これはいつもと違って、持っていた紙袋から片手で五冊ずつ、四回取り出した。二十冊のマンガが先生用の机に積み上げられた。 僕は小学生だけど、よしマンガが読めるぞなどという…

前の携帯に書いてあったの載せちゃう

答えられることもあるし、答えられないこともある。答えられないことには、答えられない。答えられないとも言いたくない。畢竟、君を無視することになる。そしたら君は気分を害するだろう。だから、どうか黙っていて欲しい。 僕は彼らを壁際に一列に並ばせた…

お笑い星からやって来たお笑い星で一番おもしろくない奴の見解「めちゃイケのサックスの件」

……さて、なんなんだこの星のこの国は。笑いが全然わかってねえよ。笑いやってんだもん、無茶はするし、失敗することもあるよ。だから、「めちゃイケ」の武田真治のサックスのことは言うなって! あれは引くってお前ら、そりゃ引くこともあるよ。高いところの…