感謝の言葉を最後まで(for the superstar!)

 今日も別のメダカが水草に卵をなすりつけたので、僕は泣いた。誰かお願い胸の鼓動を止めてくれ。オリンピックの総集編にいい加減飽きてきた頃にも関わらず、僕はまた「感動をありがとう」と呟いていた。
 メダカにとっての卵は、ヒューマンにとって赤ちゃんのはず。長嶋監督にとっての一茂のはず。それを水草になすりつけるなんて、ありがとう。感動をありがとう。僕は生きる勇気をもらった。なんでも、安全な水槽の中でなく大自然の川の中でも平気でなすりつけるという。そういうふうにできているという。彼らは小学生に世話をされても生きている伝説の持ち主、きっとやってくれると思っていました。
 しかし果たして、僕に出来るだろうか。生まれた子供を水草になすりつけて自分は一人エラ呼吸することが、出来るだろうか。食物連鎖の下の方に組み込まれていながらこの余裕。タガメの下にいるとはとても思えない。さらに彼らは、透けている内臓でそんな荒業を。このひたむきさが僕の胸を打つのか、ありがとう。メダカ、ありがとう、ソフトボールのアメリカの四番の人、ありがとう。感動をありがとう。ちゃんと走らないで世界記録、ありがとう。金メダル八個、ありがとう。日本語ペラペラのケニア人、ありがとう。全然ダメ過ぎて逆にニュースに取り上げられてしまう人、ありがとう。キン肉マンありがとう。口パクした子もされた子も、二人ともありがとう。ベッカムありがとう。感動をありがとう。みんな、気をつけて帰れよ!