2009-01-01から1年間の記事一覧
「今日集まってもらったのは他でもない。先日の戦いで悪の怪人総統、エレガンス・ヤーマダと首相撲になったとき、耳の後ろに取り付けたソニーさんの超小型レコーダーが、昨日また首相撲になったときに回収されたことは知っているな。その音声についての研究…
学校で飼っていたウサギが死んだお知らせを校長先生が発表したその時、先生方が白のカーディガンを生徒たちに配り始めた。 「一つずつ取って、後ろの人にまわしてねぇ!」 偶然、名前が野口五郎の五郎は、受け取って残りを後ろにまわすと、ビニールを破った…
入社3ヶ月の僕にはどうすることもできなかった。僕の無力さはと言えば、カッターの刃ひとつ満足に折ることができず、夜更けにワニワニパニックでストレス発散をしているところをテレビ局に取材され、課長に怒られた。正確には、社長に課長越しに怒られた。 …
オーストラリアは今、冬なのよ。テルヒコは雷にうたれ、地理のアヤコ先生を尊敬した。すっかり世界中、夏だと思っていた。アメリカのゴミムシが、エジプトのゴミムシが、世界中のゴミムシが生まれてくるような気がして、寝苦しかった。薄着で寝るといいんじ…
原住民、強っ。東京で熊本ナンバーを乗り回すジャングル小林は、自分で「ファイッ」と言って1分も経っていないのにのっけから大ピンチに陥っていた。まだヒロイン小林が煮えたぎる大鍋(味噌汁)の上に縄でぶら下げられる準備が終わっていないのに、地面に…
全五色そろえたレーザービームが二色しか出ていない。その動きも心なしか文化祭のにおいがした。ステージを照らしてかっこいいところを見せびらかすためのライトも一つしか稼働しておらず、一番よく動くからという理由でドラムだけ照らし出されて、そいつだ…
時は201X年。 立法意思と法案と運用の糊付けが弱い児童ポルノ法改正問題は周辺の問題を巻き込んだまま肥大化し、「エロゲをしない男」と書いたハチマキをしめた男達が大挙として鼻をほじっているうちにエロゲ・エロマンガの中でも目に余るものが曖昧な裁…
寝坊したのに、親方は現役時代よりもっとゆっくりした動きで稽古場へ現れた。見た人がせき込むほど相撲が弱かったのに親方になった苦労人の親方にしては珍しく朝寝坊してしまった。苦労人は朝ちゃんと起きるイメージがある。 スズメがちゅんちゅん鳴く声をバ…
二人が犬と猿のライバル関係にあったのは、学園の誰もの知るところだった。いつかえらいことになるのではないか、と時々後ろの黒板に書かれていた。 『今週えらいことになるのではないか』 そう書かれてから三日後の木曜日、それが現実のものとなった。きっ…
店員が明らかに俺たちのパスタを持って歩いてくるのがわかった瞬間、電気ショックが走った。 「よくばりペペロンチーノのお客様」 番長の手が胸の前まであがった瞬間、舎弟ナンバー2先輩が勢いよく立ち上がった。 「よくばりってお前、誰に言っとんじゃコラ…
太陽がギラギラ輝き、シーズンに向けて調子を合わせてきた草が元気いっぱい草くさいにおいを発しています。外で遊ばないと言われて久しい子供たちだけれど、広い草むらを帽子片手に歩きまわり、大人の逆をいくライフスタイルを模索しています。僕はその光景…
あれは最初、誰に言ったんだっけ。小学五年生 本日ズル休みの国本は、自分の部屋のベッドで震えながら、時計が一番きりのいいところに上り詰めようとしている様子を見つめていた。ミッキーマウスの腕がぐるぐるまわることで、現在時刻をお知らせしてくれる。…
正義の割り切った肉体関係戦士、マナブとサオリは、互いにきつく抱擁し、マナブがサオリの尻を思いきり鷲掴みにしてグッと持ち上げた瞬間、無敵の絶倫ヒーロー・歌麿ボディコンに変身するのだ! ザンバーババ ザンバーババ ババッ ババッ バ〜〜〜〜〜 ババ…
西暦1999年、情報化社会のアイディアも出尽くした昨今、主婦の忙しさは増すばかり。まさに盆と正月のようなコンビネーションに忙殺される全国の主婦たちを救うべく、秘密結社「バラ色らいふ団9:50(くじごじゅっぷん)」が行動を開始したのであった。…
マンガ 物理に強くなる―力学は野球よりやさしい (ブルーバックス)作者:関口 知彦 (原作)発売日: 2008/08/21メディア: 新書 僕の高校時代といえば、理系に歯が立たない試験の日々でした。どうにもこうにもやる気がせず、数学と化学と物理のテストは、試験官の…
高層ビル16階建て。色付きコンクリートは成功者の輝きを放ち、エレベーターは2つ。管理人が常駐し、宅配ボックスがついている。しかしそんなアッパーなマンションの屋上では今、物騒な話が進行中だ。飛び降り自殺しようとするパッと見50代の男に対し、…
今日もたくさんの帰宅部が静岡県の茶畑に集まってくれた。まず、茶畑の一番下のところで色々事務的なことをやる必要がある。若ちゃけた中学生たちの憧れであるミリタリー・ウェアに身を包んだおじさんは、ジッポーコレクションを一通り自慢してから、本題に…
フルタイムライフ (河出文庫)作者:柴崎 友香発売日: 2008/11/04メディア: 文庫 僕は仕事をしたことないどころか、最近よくすれ違ってそのたびに挨拶をしてくる「仕事」というものに対して、いけないなと思いながら無視しています。僕は仕事について全然知り…
僕は清里さんのことが好きだから、すぐにわかった。 「空襲警報が鳴ったので、私達は電灯を消して――」 戦争体験を話しにきたおばあさんの目に、窓から差し込む光を反射させているのは、清里さんだ。僕の斜め前、窓際に座っている清里さんは、鋭く整った顔に…
のぼるくんたち(1) (アフタヌーンコミックス)作者:いがらしみきお発売日: 2018/12/21メディア: Kindle版のぼるくんたち 2 (ワイドコミックス)作者:いがらし みきおメディア: コミック まずみなさん、自分がジジイババアになった時の理想のスタンスを紙に…
「創作文芸のビジョン」集積 こうした動きが出ているそうです。ちなみにどなたか、リンクをつけたら自動的に青色にしてアンダーバー的なものを出さすためにはどこをいじくったらいいのか教えてください。僕は困り果てています。 これはあくまで「Google Wave…
あれを見ろ。とうとうやって来た。さっき電話があったんだ。あれぞ噂のガンマンだ。 馬上のピストル上手は、頭が取れそうなぐらい後ろにグラグラ揺れて、全然こっちをみていないのに、正確に向かってくるし、路肩へじょじょ寄せしてくる。馬の出来が違うんだ…
働くおっさん劇場 [DVD]発売日: 2007/07/14メディア: DVD 僕が、松本人志が関わっているものなら「サイボーグ魂」までビデオ録画していた頃、地球はもっと灰色をしていました。それでも少しずつ大人になりつつあった僕は、世の中には突然坊主にする笑いのカ…
猿飛佐助 (ちくま文庫)作者:杉浦 茂発売日: 1995/07/01メディア: 文庫 もう死んじゃった杉浦茂先生の『猿飛佐助』というマンガです。先日行った本屋さんで「それゆけ妻夫木くん 戦国武将本 大特集コーナー」があったのですが、その中にコレが入ってたのがお…
私の通う中学校は、長い長い下り坂の終わりにあります。私は毎朝、この坂を下って学校へ行きます。遠く町を見下ろせば、様々な色や形をした屋根が朝の光を受けています。あの下でみんながそれぞれ暮らして、きっと私と同じように、一日の始まりを感じている…
「福浦さんちの犬、感情むき出しだね」 私と上條君の目の前で、牙を丸見せにしちゃって、今にも飛びかかりそうな姿勢を見せるトゥインクル。うちの犬。バカなあなたのおかげで私は顔から火が出そうだよ。こんな年頃の女の子なのに、飼い犬が感情むき出しなの…
精も根も尽き果て、先輩はパンツ一丁メガネワンフレームの貧相な姿でグーを出して負けた。ネグリジェみたいなものを着た女がパーを出したまま嗤う。先輩の2m後ろでは後輩が二人、拳を畳にたたきつけて悔しがった。 「静かにして、静かにっ……ほんとにっ」 …
少年少女探検隊(自転車移動)に必要とされていたのはこんなフレッシュネさのある人材だったと、高二の鶴子は思った。こんな、野菜の多いイメージの男を待っていたと。鶴子はまず、彼がいつもメントスを常備していることに注目し、 「メントスを持ち歩くのは…
まず、一人目のライオンちゃんどうぞー 博士「君の悩みはなにかな」 ライオン「エサがとれなんです」 博士「それで君は具体的にどういうふうになりたいのかな」 ライオン「エサがとれるようになりたいんです」 博士「なるほど」 ライオン「あの」 博士「なに…
「僕が『友達っていいな』ってコールしたら、『本当だね』ってレスポンスしてくださぁーーーーい!!」 近所で一番でかい公園で開催された「全国 年に一度よい子たちスーパー盛り上がりライブ」は、一番手のザ・チビっ子電気ビリビリズの一曲目『アドリブ』…