この変身の仕方おもしろい

 正義の割り切った肉体関係戦士、マナブとサオリは、互いにきつく抱擁し、マナブがサオリの尻を思いきり鷲掴みにしてグッと持ち上げた瞬間、無敵の絶倫ヒーロー・歌麿ボディコンに変身するのだ!
 ザンバーババ ザンバーババ ババッ ババッ バ〜〜〜〜〜  ババッ!!


 悪い組織、ジャングルゲのイメージカラーは黒。その前は紺、そのまた前は浅黄色だった。とはいえ、今日は悪事も一休み、夏物のコスチュームを揃えにユニクロへ買い物にきたのだが……。
 完全にドブネズミをモデルにした魅惑のボス、チュー・ドブルバは、全身タイツの上に半袖パーカを重ね着したナウいコスチュームにするかどうかかなり迷っていた。お金はある。でも、あるからって使ってたら、いくらあっても足りはしない。こうも迷うのでは、とても自分一人では決められない。意見を聞こうと店内をウロウロし、黒光りのマスクをした戦闘員の肩を叩いた。
「!? ウ、ウギ、ウギウギ、ウギギーッ」
「お、おいおい落ち着け。どうしたっていうんだ……あ、あれは、マナブとサオリ!」
 なんと、棚の影からのぞき見ると、にっくきマナブとサオリが服を選んでいるではないか。やはり正義と悪は相反するがゆえに互いに引き合い、同じ日に服を買いに来るというのだろうか。二人は男物のカーディガンを選んでいるらしく、マナブが大きく広げてサオリに見せたりしている。
「ウギギー、ギギーッ」
「話を聞いてくれって?」
「ウギ、ウギギーーッ、ウギー」
「ふんふん、自分もカーディガンを試していて、試着をするために、自前のカーディガンを脱いで置いといたら、…バカタレ! カーディガンが欲しいのにカーディガンを着てくるやつがあるか!」
「ウギギーーッ」
「なに、そんなことはどうでもいいって?」
「ウギギギーーッ」
「ええっ? 脱いだカーディガンを忘れてきたって? そして? あれが!? お前のカーディガン!? あの、今、二人が見てるやつが!?」
「ウギー」
 となると話はややこしくなってくる。シャツのコーナーに隠れて見ていると、二人は、いよいよカーディガンを背中にあてはじめ、今にもこれに決めちゃいそうな雰囲気だ。
「くそ〜、あいつらめぇ〜。それユニクロのやつじゃないのにぃ〜」
「ウギギィ〜」
「お前のなのになぁ〜」
「ウギギィ〜〜」
「あれお前のなのになぁ〜?」
「ウギウギィ」
「あのカーディガン、あれなぁ〜?」
「ウギ」
「バッカヤローがなぁ〜〜?」