2014-01-01から1年間の記事一覧

カンバセーション・ゾンビーズ

これは、現在テレビに出てる芸能人が全員死んだ未来の話である。 かなり極秘のとある研究所(駅近)、ホルマリン漬けされた志村けんの右腕が安置されている部屋(3階)に、芦田愛菜の遺体が運びこまれたその時(2時)だった。とつぜん、端っこの傘立てにさ…

授業参観で産まれた子供、2014年の松本人志添え

「母ちゃん、無理して来ちゃダメだからな!! ぜったい、来るなよ!!」 キッチンに向かって一発、大声で告げ、「来たら承知しないぞ!!」とダメ押しして、オイラは学校へと全力疾走した。 オイラのクラスでは、先生も含めた少子化24人クラス全員の、どい…

本当は恐い職業体験

「丸山、きょうの放課後、校長室に来い」 壇ノ浦先生からそう言われたオレだったが、校長室の場所がわからず、掃除のおばさんに聞くことになった。おばさんが何も言わずに歩き出したのでついて行くと、図書室を通る最短ルートで校長室に着いた。 ノックして…

メイサ~乳房になった女~

右乳房が黒木メイサの顔になる奇病にかかってしまった15歳の野良子(のらこ)は、気の強いメイサにお気に入りのブラジャーを食い破られた。 風呂場の脱衣所で、眼帯みたいになってしまったブラジャーを手に、思案に暮れる野良子。鏡に映ったメイサはつんと上…

物思う人によせて(ゼッタイお前のことじゃない)

ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫) 作者:シャーウッド・アンダソン 発売日: 1997/06/10 メディア: 文庫 大江健三郎が綿矢りさに贈ったとかいう大野晋の『古典基礎語事典』「ながむ」の項にこうある。 ながむ 長い時間じっとひと所に目をやっている…

『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んで

ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ もっと!) 作者:阿部共実 発売日: 2014/05/08 メディア: Kindle版 ベンヤミンは友人のショーレムに宛てた手紙のなかで、カフカ作品の登場人物についてこう書いている。 第一に、人…

「トスカ」を見て

お母さんが園芸を好きだから思うのだけど私はあの日のハンバーグと一緒にデイジーの種を飲みこんでしまったと思います。で便秘気味だから思うのだけど種がおなかで芽を出してぐんぐん伸びてしまったのだと思います。 私は基本よく言われるけどマイナス思考だ…

後生大事に

ようやっと電車がホームにたどり着き、3分ほど息を止めていた扉が大きく息をつくと、ホ-ムに人が溢れかかった。改札に出るには、上り下りで一揃い並んだエスカレーターを2回、"くの字"に下りる必要がある。 それまで人混みに埋もれていた小学生になるかな…

あたしが好きな安藤くんはキライ

「好きなんだ、付き合ってくれ」 ガコガコガコ安藤くんガコガコガコガコガコががが言った瞬間ガコガコガコガコあたしのイトノコの刃が大きくたわんで木材とガチこんでとんでもねえ音が勃発。 パニックになってあわあわするあたしの足を安藤くん思っくそ足の…

美少女の「ビ」、アキラの「ラ」

苦慮という言葉は父からもたらされた。自分は父の言いなりに利き腕を右とし、日本語を母語とし、それからやはり苦慮することになった。分別を過度に知ることで失い、崖下に美少女の「ビ」が見えた。 自分は崖下に続く暗い道を下った。大阪近鉄バファローズの…

ふたりの姉妹

この世でいちばん好きな曲で書きました。 The Kinks - Two Sisters (High Quality).mp4 - YouTube 美代子は鏡を見つめていた。化粧を施された自分の顔を様々な角度からながめては、納得いかないと言うように首をひねり、さらに手を加えようと勢いよく顔を寄…

少女A 読書ノート

彼女が全てのテスト日程を終えた日の深夜、夜更かしな家族の寝入りばなのことだったが、彼女は手入れの行き届いた自分の部屋で、長い間とりかかっていた読書ノートを書き終えた。彼女は虚ろな目でいったんそれを閉じ、また開いた。消しゴムを使わない手癖の…

パンツの潮騒さようなら

「今日思ったけどさ、やっぱり女子のスカートが短くなってきてるよ」「太陽に誘われて上へ上へと伸びてきた生足がスカートの中で風通し良く可憐な花を咲かせる最良の季節の訪れだな。よかったな。松波、ホントによかったな」「なんだよその言い方は。うるさ…

えりり、ジャーマネを殺す。

えりりはフジテレビの控え室で、今日買ったばかりなのに血に染まりきった包丁を持って、肩で息をしながら立ち尽くしていた。 目の前にはジャーマネの死体。 えりりはジャーマネを刺した。胸を一突きした。物怖じしないと評されるだけあって、殺してしまって…

少女A 1

阿佐美景子は昨夜遅くのスポーツニュースでウェイン・ルーニーを見た。 頭が丸くて、胸板の厚い、レゴの人形のようなそのサッカー選手が頭を下に飛び上がってシュートを放ち見事なゴールを決めた時、誇張なしに、彼女には何が起こったかわからなかった。ルー…

劇空間プロ野球2

こうして、やるとなったらやる男、古田を表向きのリーダーにすえて、さらなる野球のエッボリューション(関西ノリ)を我らの手で巻き起こそうではないか、よいではないか、とみんな心を一つにして、次の日はめちゃくちゃ食べた。 まずは、目指すべき、新たな野…

劇空間プロ野球1

野球中継がテレビから消えて30年、サイボーグ化したナベツネがようやく亡くなったころ、みんなの好きな公園でやってたアレ、つまり野球が動き出しました。 ある晴れた日、ボルダリングの帰り道、駅のホームで、ぼくたち野球革命軍一同は、少なくともホリエ…

ドアを強く鳴らすのは誰だ? (穂村弘『短歌の友人』)

短歌の友人 (河出文庫) 作者:穂村弘 発売日: 2013/05/17 メディア: Kindle版 謝りに行った私を責めるよにダシャンと閉まる団地の扉 小椋庵月 一読して、面白いなと思った。歌自体も悪くないのだが、それ以上に魅力のポイントがただ一点に集中していることが…

欲望の「ダシャン」 (穂村弘『短歌の友人』)

短歌の友人 (河出文庫) 作者:穂村弘 発売日: 2013/05/17 メディア: Kindle版 謝りに行った私を責めるよにダシャンと閉まる団地の扉 小椋庵月 一読して、面白いなと思った。歌自体も悪くないのだが、それ以上に魅力のポイントがただ一点に集中していることが…

熟慮の余裕(『アイヒマン調書 ホロコーストを可能にした男』)

アイヒマン調書――ホロコーストを可能にした男 (岩波現代文庫) 発売日: 2017/08/19 メディア: 文庫 一刻も早く風呂の掃除をして風呂に入らなければ明日朝からの仕事がつらい。シャワーだけでは疲れは絶対にとれないから、湯を張らなければいけない。仕事は忙…

シュリーマンが憎めない(『シュリーマン旅行記 清国・日本』)

シュリーマン旅行記 清国・日本 (講談社学術文庫 (1325)) 作者:ハインリッヒ・シュリーマン 発売日: 1998/04/10 メディア: 文庫 ホメロスの詩『イリオス』は、トロイア戦争について書かれてます。戦いに勝って置いてあった敵方の大きな木馬をお祝いに持ち込…

ボクの失恋バナシ

彼とボクの話は、だから中学の修学旅行にさかのぼるわけ。しかもお風呂。1時間とか、きっちり時間決まって、まとめて入るやつ。修学旅行の大浴場なんてほとんど貸し切りみたいなもんだから、みんなは好きホーダイ走り回ってるわけ。湯けむりの朦朧とした中…

出席番号5番 近藤美莉

あんなにドキドキした、私と同い年ぐらいの女の子たちが繰り広げるボルテージ高まるばかりの恋やら愛やらほにゃららを描いたマンガはなんだか遠くなってしまった。 あんなに痛快だった、女の子が外見とは裏腹に心の中でハイテンションに止めどなく豊かに喋る…

こんな歯医者はイヤだ

「横島コウヘイくん、こちらへどうぞ」 院長の息子さんが今年の書き初めで書いたという「診療室」という習字を見て不安になったコウヘイが振り返ると、お母さんはコウヘイとは逆の方を向いて、『女性自身』をソファにうつ伏せになって読んでいた。「お母さん…

出席番号3番 木嶋陽介

出席番号2番 宇野道夫 宇野がいなくなって何日か経った。あれこれ噂が立っているらしいが、特に何が変わるということもなく期末テストが始まった。 俺はテストが好きだ。その時だけ出席番号順に変わる席が好きだ。教室に入ってすぐ、机の間を縫うことなく自…

合コンGO!GO!GO!

年の離れた小4の弟のミサンガが切れた日、血もつながっているし、なんだかいけそうな気がして、合コンに参加した。「ガタガタッ。自己紹介します。オレの名前は百一匹ワンちゃ朗。ワンちゃろうのろうは、『ほがらか』の朗。最近見たおもしろかったもの70…