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あたしが好きな安藤くんはキライ

「好きなんだ、付き合ってくれ」
 ガコガコガコ安藤くんガコガコガコガコガコががが言った瞬間ガコガコガコガコあたしのイトノコの刃が大きくたわんで木材とガチこんでとんでもねえ音が勃発。
 パニックになってあわあわするあたしの足を安藤くん思っくそ足の裏でスイッチから蹴り飛ばして「ギャア!」そんで事もなく言った。
「なあ、付き合ってくれよ」
「ええええ……?」
 蹴られたゾ? 今、蹴られた。そりゃイトノコを止めっためったって、もうちょっとやり方あるつーか足は足でも甲的な部分があるっしょつーかあたしだってずっと前からっつーか一目見たときから好きでした憧れでしたそれも高嶺の高値のおっかねーやつっつっつっつーかあたしを好きだなんてチョットおかしいっつーか でもよーでもよー今は21世紀ドラえもんが来るのは何世紀だっけ? 2112ドラえもん誕生 1221承久の乱 この符合は一体……げえまだまだ100年近くあるぞ…なのにおかしいだろ安藤!の「ええええ……?」
「ええええ……じゃないよ。どうなんだよ」
「も、もしかして、ドッキリリ、リ?」と周囲を確認。技術室の隣の狭い作業室。2台しかないイトノコ。どうせあんたらみたいな中学生はふざけて超アブないから2人しか絶対入っちゃダメっつう木くずのにおいの秘密の花園。2人は作業中。小さいイスを鋭意作成中。
「ちがうよ。語尾を噛むなよ。くだらないヤツだなー。答えは?」
 そういう短いしゃべり方アホっぽくて好き ん、くだらない? くだらないのか あたしドッキリの番組けっこう好きだから染みついてんのかな家族のみんな好きじゃないからチャンネル替えろ替えろ気分悪い性格悪いだからモテない成績悪いぅるっせーな成績は関係ねーだろアタシは人のリアルが見たいんだこれは人間愛とか暴れに暴れて死守して見てんけどこの前なんかケッサク 結局薬局みんな笑ってたんだけど小峠がイヤヤヤヤそんな場合か!
「だって、そんな、おかCジャン、安藤くん完璧超人で人当たりもバッチいいからモ、モモモ、モテるし、わざわざあたしなんか選ぶ必要ないしだから答えっていうか問題がおかCんだもん答えられるわけないジャン謎に満ちたハート形から水を120g蒸発させるとF2層視聴率は何パーになるでしょう。ただしそのブスはさっきおもくそ蹴られているものとする。ヨケイ複雑なもよう。2ちゃん大学受験板で何年後も紛糾するチョー悪問ともちきり」
 ほらあたしってセンスなさすぎるだろーおかしい おかしいなー まともに恥じらうこともできないのか もうこれで嫌ったろ安藤よしんば万が一番外地あたしに好き好きのほの字だったとしてもくそくその三十路下血ってな具合のアレだろ あたしを選んだ目の節穴具合を呪うがいいのよ安藤くん 聞いてよこの風が通り抜けてピューピュー鳴る不協和音 空回りばかりの軽薄な会話セーションだんだん惨めになってくるよ。
「そんなことないよ」
「顔もこんな、ブサイクに補正かけて一応出荷したみたいなだし、やっぱりおかC。コレはあやかCにちがいない」
「顔も好きだぞ」
「ぎえ…」
 その時、安藤くんは深呼吸をしたそうな。そして言ったそうな。
「別に誰を好きになったって俺の勝手だろ」
「ちがうよ!!!!」
安藤くん、ものにはお似合いともちょっとちがう釣り合いってものがあってだね、お前さんはもっとセンスの良くて何よりかわいくてそれでいて美人しかもちょっとピントの外した美人ってわかるかな、今流行りのアレよ流行りとか知らないかまぁソコもいんだけどね。ともかくそんな安藤くんには教育が行き届いて誰といても態度の変わらない自分をしっかり持って映画も踏み込んで見てるのに聞かれるまで言わない植物と動物が同じくらい好きでなんかわかんないけどお茶しか飲まないドッキリの番組とかもイヤだから自分からは見ないで海外旅行も行ったことがあって筆箱もゴチャゴチャしてなくてシャーペンの持ち方もバッチリで字も綺麗ときたもんで足の爪とかも意味なく死んでなくて女子だけでいる時もハメ外したりしないでだけど親友同士2人でいたらなんでもペラペラ話しちゃうようなところもあって好きな人とかのこともついつい熱を上げて喋っちゃってからかわれたりしてそんでこんな時もふざけたりしないでちゃんと受け答えして自分自分自分自分じゃなくいの一番に相手を思いやって感謝の気持ちをきちんと示すことが出来てそれで恥ずかしがりながら下を向いて涙ぐんだりして、あたしの方では嗚呼がんばれがんばれしっかりしっかり、んで、んでんでんで」と声が出ていた。
 口をあんぐり開けた安藤くん。あんぐり安藤。angry安藤? あたしはイトノコのスイッチをおもっくそっくそに蹴たぐりに踏み込んだ。グワン、グワングワングワン一直線にガリガリ切っていきながら怒鳴る怒鳴る怒鳴る。
「と、とにかく、とにかく、一番いいのは! あたしの正反対で! あなたのことがまっすぐ好きで! それは誰かと言ったら!」
 そこでぐわって口がゆがんだ 嫌いなもの食うみたいに押さえつけてまた怒鳴る。
「ナナミだろーが!!! あたしの親友で!! どうしよーもないあたしといつも一緒にいてくれて!! 楽しい時はアホみたいにおもしろくて、悲しい時はアホみたいに優しい!!! クラスで一番だんとつサイコーのナナミンだろーーがああああ!!! 気づいてやらんかいアホ安藤!……くん!!」
 あたしの小さいイスの座面はそこでプツッと真っ二つになった。あたしはそれを回収したのち作業室を出て行ってみんなのいる教室には戻らず んでんでんで小6の頃だよ親友の好きな子だからって自分も好きなのにあきらめてむしろ応援なんかしてほんとバカだからそいつに告られて悩んで悩んでこっそり泣いちゃったりなんかして結局各局断るしホント何考えてんのかわかんないくせに一緒にいたらどーでもよくなってそーいえばこの前近道して通ったら思い出したけどツツジ公園の横のマンションの屋上いけないけど上がってバドしてたらあたしド運動音痴で恥ずいからナナミとしかそういう遊びできないけどだからでも珍しくスコーンって打ったらだから羽根がヒューンて落ちちゃってなくなっちゃって最悪夕方までさがしたけど全然なくっていーよいーよなくしていいからあたしがお姉に怒られるからっつってんのにいつまでもさがしててあたしその時ちょっとうんざりしちゃっててさ 帰り遅くなってお母さんに一緒に怒られてクソお姉にも自分から謝ってあたしが怒られないようにしてくれて結局…郵便局 お姉にはズタズタに怒られたけど次の日ヘーキだったぜありがとうってナナミに言ってナナミ笑って嗚呼どーしよなんだか嘘ばかりつきあってんねえ あたし達…っていつの間に雨降ってんじゃん降ったら一緒に帰るから傘持ってきてねーえーし最悪最悪サイアクだよもっと降れ降れ降れ沈め沈め台風みたいに校舎ごと吹き飛ばしてよ……