全日本サブカル選手権(筆者はサブカルチャーについてよくわかっていません)

 今日、Mr.サブカルチャーが決まる。
 全国から、自分こそサブカル免許皆伝だと豪語する男達が続々とやって来て、上野駅、東京駅、羽田空港に降り立った。男達は、そこから電車を乗り換えるなどして次々に京王線へ乗りこみ、会場のある下高井戸駅へと向かった。間違えて京王新線に乗ってしまう者もいたが、全体的に見れば特にこれといった問題は無いといえた。しかし、さすがはサブカルの申し子達、道中はPSPやDSを操る者、マンガを一心不乱に読む者など様々で、早くも臨戦態勢だ。足元は、ダイエーで買ったメーカーのわからない白い運動靴でかためられている。紙袋は大きければ大きいほどいいとされている。
 会場はあっという間にいっぱいとなり、メガネも曇らざるを得ないといった様子。我こそはMr.サブカルだ、という心意気が充満し、自分のブログやmixiを更新するための電波がそこかしこで放たれていた。
「どうも、おはようございます」
 スピーカーを通した大きな声が響いた。イヤホンをしていたサブカル野郎は、それに気付いてイヤホンを取った。
「俺が主催者の南林です、28歳です、よろしく。今日は集まってくれてありがとう。それじゃ、早速だけど始めちゃおうかな」
 さすがはサブカル関係者、偉い人なのだろうが実にフランクな雰囲気を醸し出している。
「ルールは、大体テレビチャンピオンと一緒です」
 会場全体がざわめいた。
「多分、マンガとかゲームのキャラとか、それに関するウンチクをいっぱい知ってる人が優勝です」
 一瞬、不気味なほど静かになったが、飢えし狼と化したサブカル請負人達は、低いジャンプ力を見せて拳を振り上げ、やる気をむき出しにした。あんま声出てなかった。