噴火を止める山島さん
噴火噴火、今日にも噴火する、と言ってれば噴火もするというもの。島のど真ん中に位置する山は見た目にも熟れたトマトのようにパンパンになって、お昼までもつかどうかというのがみんなの総意だった。
こんな時、いつもいつも島を救ってきた山島さんの得意技は、噴火口のふちに両手両足大の字でつかまって仰向けに体を支え、噴火がそれはもう凄い勢いでドーンとくるところを腰のところで受け止めて、風に膨らむカーテンのように体を反らせながら、
「うおおおおおはいっ!」
と、「はいっ」のところで溢れるマグマを強引におさえこむというものだった。聞いただけで無茶な荒業だが、実際にビデオに撮ってみると意外とコミカルで、ヘリで空撮されたその様子が夜の祝賀会で流されると、とても盛り上がるのだ。
今日もまた、山島さんは、
「うおおおおおおおおはいっ!」
と、噴火をおさえこんだ。祝賀会で流された映像は素晴らしく、みんな、山島さんが年をとるにつれてどんどんおもしろくなってきている、と絶賛した。
後継者もいないし、みんなは山島さんにはずっと長生きして欲しいと思っている。