ガンジー

 今日さみーよ! でもそろそろ薄着する季節だよね。薄着ってなんとなく元気でにこにこバカっぽいけど、薄着でも偉い人はたくさんいる。例えばガンジー、ガンディー? 俺は彼の話を初めて聞いたとき、ジョン・レノンと同じメガネをかけているな、と思ったといいます。
 闘うってなんだろう。闘うってことにもいろいろあると思うのね。例えば、仮面ライダーは僕らの心に刻まれた偉大なヒーローだけど、ねえライダー、って聞いても、闘うことって何って彼らに聞いても、海まで歩きで塩を作りに行くことが闘うことだとは言わないよね。バイクで行って、やっつけて帰るんだ、バイクで。ライダーはそう言うよ。それはそれでかっこいいし、あこがれる。
 イギリスで産業革命が起こったと聞いています。ボタン一発で繊維(俺は糸っぽいものと推理してる)を作れるようになり、植民地のインドに繊維作りメカが海を越えてやってきたと聞いています。いたずらで、ナイキのマークがマジックで書いてあったそうです。そこでお前ら繊維を作って、洋服を作って、そして着ろと。作ったらすぐ着ろ。イギリスはインドの胸を突き飛ばしながら詰め寄ったといいます。オッケーすよ、やめてくださいよ、と軽いノリでメカに飛びついたインドの人が山ほどいたという伝説が残っています。インド人が楽しそうに繊維を作る機械の話をしているのを聞いた人がいるそうです。それはまるで、年の離れた兄貴のCDお古ラジカセを意気揚々と引き取る弟たちのようでした。じぶんが一番、次男、次男。
 それまでインドの人は主に屋外で、木製の何かを、筋肉の力を使ってまわすことで糸を紡いでいました。それが今度は、屋内で、ボタン一発で糸がトルネードしていく。見ろよ。見てくれよとみんなボタンを連打しました。長蛇の列を作って、交代交代で連打したと聞いています。並んでいるとき、前の人の背中を連打していた人もいて、そしたら本番もうまく押せたという話を聞かせてくれました。そんなふうですから、ボタンに書かれた「押」の字はすぐに消えてしまい、次の日きてみたらナイキのマークが書いてあったそうです。この話はインドの道徳の教科書にも載っています。
 ボタン一発なので人手が余ります。ほら集まるな、集まるな。「そこ三人だけ残って、あとは掃除でもしてろ」とインド人の中でも偉いほうのインド人(偉インド)に言われてしまったたくさんの普通のインド人(偉くなインド)はブラブラしたといいます。これは現在でもそうですが、毎日ブラブラしたらお金がなくなったそうです。最初は笑っていたそうです。金貸してくれよー。笑っていたそうです。現在でもそうですが、しばらくすると真顔で金の無心に行かないと貸してもらえなくなりました。やがて、真顔で行ってもダメになり、逆にヘラヘラ笑いながら行きましたが、やっぱりダメで、むしろ泣けたそうです。
 インドの経済はめちゃくちゃになってしまい、毎日カレーばかり出ました。インドから、カレーだカレーだ、という楽しげな声が消えてしまいました。そこで立ち上がったのがガンジーです。ガンジーは、もうボタンなんか押すな、と言いました。ボタンを押して作ったエゲレスの服は買ったらあかんで、と言いました。そして、自分で作った糸で作った服で薄着しました。見ろよと。薄着だろと。正直ダサかったし、小汚かったと言われています。でも、雰囲気だけはムーミンで言うとスナフキンでした。だからOKでした。
 ガンジーはとっ捕まります。薄着したからです。かっこいいTシャツあるよ、と何度も言われたのに、ユニオン・ジャックだよ、3サイズ展開だよ、と言われたのに、手作りの布らしきもので薄着していました。だからとっ捕まりました。シンゴ、シンゴー!とSMAPメンバーの香取慎吾らしき名前を叫んでいたといいます。そのあとガンジーとインドがどうなったかはちょっとよく知りませんが、ただ一つ感じたのは、むしろツヨポンがかわいそうだ派の皆さんの目の方がちょっと怖い(怒ってる)ということです。