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メッセージ性なし、元気よし

「僕が『友達っていいな』ってコールしたら、『本当だね』ってレスポンスしてくださぁーーーーい!!」
 近所で一番でかい公園で開催された「全国 年に一度よい子たちスーパー盛り上がりライブ」は、一番手のザ・チビっ子電気ビリビリズの一曲目『アドリブ』から水筒を開ける暇もシャツを腕まくりする暇もないほどの大盛り上がり。動物で言えばライオン、乗り物で言えばヘリコプターのテンションで右上がりにこぶしを突き出す子供たちは、これこそはというラフな格好で集まっている。
「友達っていいな!」
「本当だね!!」
「友達っていいな!」
「本当だねーー!!」
「友達っていいな!」
「本当だねーーー!!」
 もうこの時点で、ろくすっぽ音を聞かずに早くも裸足になる子供たち続出。テンションが上がって遊具や木など高いところに登る子供たち続出。いつもは口うるさく注意するはずの大人たちも、今宵ばかりはブリーズライトをはっつけて寝静まっている。
「次の言霊をくれ〜〜!!」
「俺たち、ノリノリだぜ!!」
「ヒューヒュー!」
 子供たちは高いところから飛び降り、また登り、そしてまた飛び降りる。若いから、全然膝が痛くならない。二度目は、一度目より少し高いところから飛び降りてみる。段差に座って飲み物を飲んでいた子供も、二回キョロキョロしてから、飲みかけの缶を置きっぱなしで走り出した。
「あ わっしょい! わっしょい!」
 どういうわけか三輪車を胴上げする子供たちの一群もある。互いに声をかけあい目を合わせ、いっせーので盛り上がっていこうぜというエモーションをそこら中まき散らす。そのパワーが伝播していき、とにかく目に付いた物は片っ端から胴上げする感じになっていき、チョイスもどうでもよくなっていった。最後の方は数人が落ちていた『本当にあった笑える話』を胴上げしているというところまできていたが、そんな少々のことで熱気は冷めやらなかった。
「ギャー、ウワァァーー!! ギャーーーーー!!   ……センキューどうもありがとォ!!」
 ステージ上では、二番手の大好きジブリちゃんズが一曲目『ギャーギャー叫ぶだけ』を終え、さらにもう一玉 情熱の炎を盛りにかかる。
「殺し文句が必要さ!!」
 ボーカルが叫ぶ。そして股の間をくぐらせ投げたマイクに、ほうきギターを持った子が、ほうきをおっぽり出しのヘッドスライディングで飛びつき、そのままシャウトする。
「大人たち帰ってくるまで何する!? 大人たち帰ってくるまで何する!?」
「ゲーム!」「かくれんぼ!」「ゲーム!」「ゲーム!」「サッカー!」
 そろそろ食べ飽きてきたポップコーンを空中に投げ上げながら、子供たち叫ぶ叫ぶ叫ぶ。ゲーム多めで叫ぶ叫ぶ。阿鼻叫喚だな、と子供たちは我ながら思いつつ、そんないやらしい気持ちすらも、有効期限今日までの活力に変えていく。
「火遊び!!」
 誰かの自信満々の声は、およそ2千人ほどの子供たちが俺が俺がと発言しているのになんだかよく聞こえた。ギターは、声のした方を、ボーカルの股の間から指さした。
「そう火遊び!! 悪いお友達カモンッ!」
 ボーカルが声を裏返して叫ぶと、ステージ付近のおよそ6千人の悪いお友達から凄まじいコールが始まる。
「あ 火ー遊び!!! 火ー遊び!!!!」
 その心のままの叫びはあちらこちら5万人の子供たちに伝播し、やがて平均年齢10.2歳の声が津波のようにうねりうなって空を大地を宇宙を震わせ、通信簿の数字を変えてゆく。
「あ 火ー遊び!!!!! 火ー遊び!!!!! 火ー遊び!!!!!!」
「俺たち絶滅したらどうする! 俺たち絶滅したらどうする!」
「うわ〜〜〜!! 飛び立て〜〜〜〜〜!!!


 ……あ 火ー遊び!! 火ー遊び!!!」