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ワンタック

「スクラッチを犬に削らせているって!? 絶対に許せねえ! 犬にも権利があんよなー水飲む! あと黒い犬飼うんじゃねーよ怖い怖い! ロデム!」
 僕たち、何を隠そう大のおしゃべり犬。人間どもの愛用しているシルバーおパソ(なんでもXPとか!)で検索した結果、犬好きレイシストでドラムの犬ギロチン狂十郎さんの個人ホームページにたどり着いた。今時、工事中だ。
 でもそこにある力強いメッセージを読み、僕たちはこう考えた。
 このお方こそ、未来の柴犬大魔王(「しばけんだいまおう」が正しい)候補ではないのか。ワ、ワー、ワンタック!
 さっそく南極大冒険、僕たちは思い思いのワンピースで女子小学生に化けて、犬ギロチン狂十郎の家のピンポンに飛びつき連打した。
 犬ギロチンは、どうしたの? すごい汗だくで現れた。
「犬の話を聞かせて!」
 と突撃取材すると、
「入りなさんな」
 と声が聞こえた。
 
 ビシッ、ビシッと壁や天井が不思議な音を立てる中、ダイニングで取材が始まった。
 僕たちの目的はただ一つ、目の前にいる極太もやし人間、犬ギロチン狂十郎が柴犬大魔王(「しばいぬだいまおう」という人も中にはいる)の器に余裕をもった形でジャストフィットしているのか、つまりスニーカー選びの基準で厳しくお前は柴犬大魔王の資格があるのか突き詰めることだ。
 そのためには、どんなに我々がごろにゃんとカマをかけようと、犬にとってマイナスな発言をした時点で「浜田、アウトー」なのである。

――今日はよろしくお願いします。
 よろしく。
――早速ですけど、猫だってかわいいだろ!
 よく気づいたね。そう、猫もかわいいよ。
――じゃあ、犬が嫌いなのか!
 犬は好きだよ。秘密にしていたわけじゃないけど、実家で飼っていた。
――名前は!
 ロッタ。日本一かわいい。
――かわいがってた!?
 かわいがってた、日本一かわいがってたよ。そして、雨の日は散歩に行くのが日本一めんどくさかった。
――行けよ!
 あの日も、雨が降っていた。
――え?
 あの日、雨の日はいつもそうするように、俺は散歩を妹に押しつけた。妹とロッタが降りしきる雨の向こうに消えて行く姿を見て、俺はなにかイヤな予感がした。でも、そのままTVを見続けた。
――聞かせて!
 ああ。ピラメキーノでときどきドロ警やってるんだ。レギュラーのはんにゃとフルポンが泥棒役で、いろんなゲストが警察役なの。で、そこで泥棒役のレギュラー陣が、通算30回つかまると「GO!皆川と交代」なんだ。
――なるほど。
 その「GO!皆川と交代」ってフレーズが超おもしろい。
――え?
 もう帰ってくれ。