Tsuyoshi threw the ball.

 ツヨシは、いいカーブを持っています。クラスメイトのジャックは、バットコントロールの巧みな選手です。


ジャック「やあ、ツヨシ。僕と勝負をしないか?」
ツヨシ「望むところだ、ジャック」
ジャック「ヨシコ、審判になってくれますか?」
ヨシコ「え、私が?」
ツヨシ「頼むよ。ヨシコ」
ヨシコ「私に審判をすることが出来るかしら」
ツヨシ「出来るさ。いや、しなければならないんだ」
ヨシコ「わかったわ。まかせて」


 ジャックは、自分のナップザックを置きました。


ジャック「これが、ベースの代わりだ」
ツヨシ「君は、実に頭の切れる奴だな」


 ツヨシは18.44m離れると、ボールを持って構えました。ジャックも、バットを構えました。


ツヨシ「僕は、いいカーブを持っている」


 ツヨシはボールを投げました。それは、いいカーブでした。大きく曲がるツヨシのいいカーブに、巧みなジャックのバットも空を切りました。落差のあるボールは、そのままナップザックに突き刺さりました。


ジャック「そんな!」


 ジャックはナップザックに駆け寄りました。中を開けると、出てきたのは粉々になったゲームソフトでした。


ジャック「畜生、僕のシムシティが! このオマンコ日本人が。殺してやる!」
ツヨシ「待つんだ、ジャック。君は、そんなことをしているから僕の球が打てないという事に、まだ気づかないのかい。君がシムシティをしている間に、ぼくがどれだけ練習を積んだかわからないのかい。野球がうまくなりたければ、真剣に野球へ打ち込むことべきだ。君にはまだわからないのかい」


 ジャックは感動のあまり、泣き出してしまいました。


ジャック「君は、日本で最も偉大な野球選手の一人だよ!」
ヨシコ「おめでとう!」



「ほほう、なるほど。なかなかいいですね」
「野球部のための英語教科書とは、実に斬新だ」
「あの坊主頭どもは、こうでもしないと勉強に興味を持ちませんからね」
「ええ、まったくです。それでいて、野球の訓戒も込み込みで、凄くいいですね。球拾いの一年も夢中で読むでしょう」
「アイ・ハブ・ア・ナイス・カーブ。これがあれば、メジャーリーグに行っても自分の長所を紹介できる。これで、10年後の日本人メジャーリーガーの数は激増するに違いないな」
「私も同意見ですが、ヨシコの最後の台詞『Congratulation!』の意味がどうもわからないんですがね」
「まあ、これがメジャリーグなんでしょう」