斉天大聖

 レゴブロックでできた大きなかたまりの中から、サルが飛び出してきた。ブロックが景気よく宙を舞う。
 それが孫悟空だと思った時はもう遅かった。あっという間にズボンを下ろされた僕は、孫悟空にフェラチオされていた。
「貴様は! 孫悟空!」
 僕は凄味をきかせて大声をあげたが、その実、もうかなり背中を反り返らせて、孫悟空にイカせられる寸前になっていた。斉天大聖の名は伊達ではない。
 しかし僕にも意地があった。頭をかきむしりながら一生懸命、別のことを考えていた。
「原爆投下直後の広島長崎の写真や映像は米政府が二十五年間その公表を禁じた。原爆投下直後の広島長崎の写真や映像は米政府が二十五年間その公表を禁じた。原爆投下直後の広島長崎の写真や映像は米政府が二十五年間その公表を禁じた」
 孫悟空の頭にはめられた輪っかの妖しい光を、ぼくはぼんやり眺めていた。じっとりと汗をかいたぼくの目は鈍く赤い光を放ち、とろんとしていた。いつイかされたか、さっぱりわからない。魔法みたいだ。
 そして気づけば、孫悟空はもう影も形もなかった。
 ぼくは何か大事なことでも思い出すように、もう一度声を張り上げた。
「貴様は! 孫悟空!」