ジョジョを読み始めた日にすぐこれを書いてしまう僕の節操の無さ
「……俺の頭がどうにかなっちまったのか…俺の目は正常か? ヴァシナス、あの忌々しいMOVIEは、お前の目玉にも同じように映っているか? 反吐が脳天に注入されたような、そんな最低な気分だぜ俺は」
セイタリディスはまさに縮み上がっていた。汗が絶え間なく噴出し、囚われた小動物のように震えている! 弟はそんな兄の姿を驚きをもって見た。しかし少しも兄を侮りはしない。今の今まで、セイタリディスは弟にそのような心情を垣間見せることさえなかったのだから! これは何かとんでもない、魂を抉り取られるような恐ろしい出来事が起こっているのだ!!
「あ、兄貴らしくもねえどうしたっていうんだァ! 俺があんたにつけていたスローガンは『強気・元気・兄貴』ってんだよォォォその兄貴がどうしちまったんだ俺ァ……悲しいぜ兄者ァァァァ!」
兄を侮ったわけではない。しかし自らの価値を貶めるわけには死んでもいかぬ! だからこそ気丈に振舞う弟ヴァシナス、しかしその声は気負うあまりに空気の上っ面を震わせるに過ぎぬ弱者の呻き。兄の醜態を目にして動揺しない弟が、広い宇宙のどこにいるゥ!
しかし、その虚勢を打ち砕く案内が他でもない兄から弟へ、今! なされる!
「そいつを見てくれ」
兄セイタリディスはパーソナルコンピュータを指さすが、そちらを見向こうともしない! 見ることができないのだ! 恐ろしすぎて!!
「な、なんだァ…? 」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
兄の指をたどり、視線を走らせるヴァシナス。落ち着き、ゆっくりと、慎重に、しかし絶対に目にしなければならない。その画面上では何かがうごめいている。そういえば、さっきから、何か断続的な音が聞こえているではないか?
AHH! AHH! HAAAN! HA! HA! HAH!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「何ィィィィ!!!
この女、後ろから猛烈にズコバコやられているにも関わらず
さらに自分でアソコをこすり倒していやがるぜェェェ!!??
兄者ァァ、こりゃ一体どうなってんだァ こんな豪傑は初めてだァァァァ!!!」
「!! あ、兄貴……?」
角度を変えたヴァシナスが見たものは、両の耳の無い兄セイタリディスであった。赤黒い血が今も滴り落ち、服を血に染めている!
「耳を……ひきちぎっちまったのか……?」
そう、セイタリディスは、淫獣の放つ喘ぎ声を聞くぐらいならば、その耳を恐るべき怪力で引きちぎったのだ!
「だが鼓膜は残りやがった! まだコスリ売女の汚い声が聞こえやがるぞ? いいかヴァシナス。もうその女の事は口に出すな。俺はもう金輪際、関わりあうのは御免だぜ糞ッタレめが。
奴を、あの女をイかせるなんてことが可能なのか……?」
「ヒヒヒヒ……フッフ」
不敵に笑うヴァシナス!
既に弟の力は兄を超えていた!
「……しかし兄貴ィ…考えてもみろよ
こ〜んな奴が存在するとは、地球もまだまだ捨てたもんじゃねェぜ……
あんなに擦り切れるほど こすり倒しやがって…………
この女は こすり明かす気だぜ夜をよォォォ!!
俺はこいつをイかせる事を生き甲斐に
することに決めちまったぜェェェェェ
誰が、なんと言おうとゥ!!」
「バカヤロウ! やめろ童貞がなんてことを言いやがる!
セクスの玩び過ぎで気でも触れたか!?
奴は俺達の手に負える相手じゃあないんだ 絶対に!!」
その時、ドアが開いた。入ってきたのは、汚い襤褸を身にまとった日本人風の老人。白髪が腰まで落ちかかり、頬の肉は落ち、片目は大きな切り傷で完全にふさがっている。一瞬動きの止まった兄弟に、老人は口を開いた。
「セイタリディスの言うとおり……ヴァシナス、お前にも奴をイかせることは不可能。
大体お前は、あの女が何をこすり倒しているのか知っているのか……?」
ニヤリと笑った老人に、ヴァシナスは激昂した!
「下痢痢痢痢痢痢痢ィィィ!!
黄色い顔してどこのどいつだ貴様ァ!! 色々腹立つこたァあるがァ!
部屋に入る前はノック、家に入る前はチャイムを鳴らせと幼稚園で習わなかったのかァァァァァ!?
大正時代から相変わらず極東の教育は腐りきってくれるぜェェェェ!!」
ヴァシナスは尊敬していた兄を超えたことを自ら確信し、感情が高ぶっていた! 今、この世に己を止められる者は只の一人として居ない。まさに我こそが唯一無二の世界覇者であり、怖いものなど何も無かった!
「私は知っている。
あの女が何をこすり倒しているのか、既に知っている
お前は知らん! 何一つ!」
「あ〜ん何を言っていやがるゥ?
無知なのは貴様だ俺は知ってる知り尽くしているゥゥゥ!
あいつがこすり倒しているのは、正真正銘の アソコじゃねえか!!
その通りィ! 正解は…………
貴様の服のように汚い汚いびしょ濡れのアソコだだだだァァァァァァ!!!!!」
叫ぶと同時に老人に襲い掛かるヴァシナス! その凄まじいスピード超特急!
老人は避けることができない。既にヴァシナスの攻防兼ね備えた狡猾なクロスチョップがその細い喉元に迫っている!
その瞬間、老人が目を見開いた! こいつはきっと何かある!
見ろ! ヴァシナスの顔が猛烈に歪み、老人はその瞬間、すばやい身のこなしで体をかわした。
ズガァァァアアアアン!!
ヴァシナスは超スピードで壁に突っ込んで大穴を開けた!!
ヴァシナスの尻に向かって、老人は静かに語りかける。
「あの女がこすり倒しているのは、アソコじゃなくクリちゃんという。
あの女をイかせたいという堅い決意が、童貞、お前にあるのなら、私のもとで修行しろ。そっちのお兄ちゃんも一緒にだ」