思いついたら書くようにする

その時計には秒針しかなかったが、それで僕は、途方もないこの法則が至るところに満ちており決して逃げられぬことを、しっかりと思い出したのだった。


僕はファーストフード店の窓際で昼食を食べていた。ふと外に目をやると、少し離れたところを歩いていた小太りの男とガラス越しに目があった。その瞬間、僕はこの男に殺されるのだということがはっきりとわかった。


先ほどから、あなたの家のドアの前に男が一人立っている。しかし、案ずる必要は無い。彼は、あなたと顔を合わせないために来ているのだ。


塔は高く、その天辺に住む人を訪ねるのに容易ではない。私が息を切らせてそれでも階段を上っていると、足音を聞いたか、階段の横にある無数の扉の一つが開き、痩せた男が顔を出した。「ああ、そんなに息を切らせて。上る必要なんかありません。天辺になど、永遠にたどり着けないのです」彼はその部屋の住人らしい。「下手に上る方が大変です。上るのを諦めた時には、降りることも出来ないのです。禁じられてはいませんが、決して出来ないのです。どうあれ、そこに住まうことになる。それならば、なるたけ低い階で諦めたほうが利口というものではありませんか。このあたりの扉の数だって、日に日に増えていくのです。上るのなんて止しなさい。止しなさい!」「こんなところで諦めたお前に何がわかる。お前になど、ぜんぜん用は無いのだ」私はこっちから扉を閉めてやると、また階段を上り始めた。