ヒーロー最高級

 こんにちは、ぼくがヒーロー最高級です。日々、悪を倒すぞ倒すぞという姿勢を見せ付けることで毎月の給料をもらっています。
 突然ですが、ぼくのロマンティシズムもまた最高級です。ロマンティックに悪を倒すことこそモテる秘訣だと思っているので、ぼくは「さあ戦いますよ」ということになると、おもむろにクラシック音楽を流します。鎮魂歌と書いてレクイエムと読ませることで、先手必勝を狙います。
 次にぼくは、微調整に微調整を重ねて完成させた、昔チョキを顎にフィットさせるポーズをこれ以上ないという角度で決めます。この時点で、大体の女子が、球技大会男子バスケットボール決勝のような盛り上がりを見せると言われています。
 そうなってくると、もう止まらない、ロマンティックが止まらない。いよいよぼくは、「無邪気にon my mind」とロマンティックな言葉を口ずさみます。この時、みんなの嬌声でmindのとこはほとんど聞こえないし、ぼくも実は歌っていないし、そしてこの場合クラシック音楽は邪魔なんじゃないかとのことです。
 すると、次の瞬間にぼくは空にいます。そう、浪漫飛行です。なんと、ぼくのハスキーボイスが大地を震わせ、そこから水が、まるで雄大な大地の流した涙のように、とてもアーティスティックな形で三つほど湧きでて、ぼくを空へ、in the skyの方へin the skyの方へと担ぎ上げていくのです。ぼくの手には、トランクが一つだけあります。
 そしてついに、ぼくはクレッセントムーン(三日月)にトランクを枕に寝転んで、手を頭の後ろで組み、足も組んでいます。クレッセントムーンはとてもよく背中にフィットし、デザイナーズファニチャーを思わせます。ぼくは天上人となり、お前らが笑っている時も、泣いている時も、避妊している時も、いつもニヤニヤしながら見守っています。