おもしろ消しゴム誕生秘話

 二十世紀最大の発明の一つ、みそラーメンの形をした消しゴムが生まれるまでには様々な苦労があったとされています。
 そもそも、消しゴムは四角いものです。そして人々も、いつまでもいつまでも四角い消しゴムでいて欲しいと願っています。しかし、消しゴムは丸くなります。角が丸くなってきたことに我慢できずにカバーから消しゴムを外し、ひっくり返してまだ四角い反対側を使ってしまうことで、出来損ないの楕円型消しゴムが出来上がりますが、ある調査によると、世界の90%の人がこうなってしまうと言われています。その経験がある、という人に至っては99.8%に及び、これは、ガキ大将、秀才、クラスのマドンナに限らず当てはまるということです。そうはさせまいと、角が丸くなるたびに消しゴムを切って四角さを保っていこうとする人がいますが、その浅知恵ぶりは、夏休み前にそいつの消しゴムだけ二個目に突入していることで露呈します。さらに、切ったところのクズ消しゴムは、クラスのバカがちぎって人の口を狙って投げて遊ぶことに使われる確率が非常に高く、というか絶対にバカはちぎって投げるので、環境にも大変悪いといえます。だからこそ、消しゴムは四角いほうへ四角いほうへと歩みを進めてきました。現在では、ディズニー映画のチーズみたいに、小さな四面体と虚空の四面体がつなぎ合わされた消しゴムが売っています。
 そうしたニーズを完全に無視して消しゴムをみそラーメンの形にしたのが、いまや伝説となっている、元祖おもしろ消しゴムプロデューサーの越川さんです。越川さんは、みそラーメンにするアイディアを手塚治虫が亡くなった知らせを聞いた瞬間に思いついたという話を雑誌の取材などでよく話していますが、これは時期的にみて完全にウソだと言われていて、キン肉マンバッファローマンを消しゴムにするアイディアをパクったというのが本当のようです。