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劇空間プロ野球2

創作

 こうして、やるとなったらやる男、古田を表向きのリーダーにすえて、さらなる野球のエッボリューション(関西ノリ)を我らの手で巻き起こそうではないか、よいではないか、とみんな心を一つにして、次の日はめちゃくちゃ食べた。
 まずは、目指すべき、新たな野球のおもしろさをハッキリと打ち出さなくてはなりません。
 言ったそばから「いや決めてからやれよ!」と発言するメンバーもいましたが、「うるせーバカ」の一言で即やめさせて、交通費だけわたして帰しました。いきなりバスで帰るとか言い出したので少しもめました。
  こうしておじゃま虫がいなくなり、いなくなったけど、なんだかちょっとさびしい気持ちが残りました。でも、こんな時こそ元気一発、出さないことには始まら ないことには、また同じ歴史がくり返されてしまいます。「イイダサン、ガンバルカラ」だけでは乗り越えられないこともある世の中の厳しさときたら物の数で はないのです。
「みんな、しょぼくれるな。このままじゃ、このままじゃのみこまれるぞ。あれを見て!」
 ぼくは、壁にはったお習字を指さしました。そこには、今回のプロジェクトの企業理念、コンセプト、より厳密に言えば今年の目標が書いてあります。

・高視聴率
・めちゃくちゃハッピー
・キラキラしてら
・君がいるからがんばれる

 みんなで見上げて初日はバラシ、気をつけて帰れよ、明日は正念場だよ、となりました。
 研究室の朝は、はっきり言ってめちゃくちゃ早いです。翌朝すぐ、スーパーコンピューターに、4人がかりで、4方向から寄ってたかって、これまでの全プロ野球選手の成績・好きな色・中学受験したかしてないかのデータを入力しました。
  この時点でもうすでにけむりが出ているスーパーコンピューターに、夜、前述4つの企業理念をごまかしごまかし打ち込んだところ、内部からせきばらいのよう な音が数度して、ドラえもんが闇の中をタケコプターで斜めに飛んでいくスクリーンセーバーが一瞬流れたあと、コンピューターが爆発。たくさんの粉がまいあ がりました。
 ウオッホン、ゴッホン、ウェーヘッ! 一度、みんな部屋の外へ。
 そのあと冷凍のナポリタンを食べてみんなで待っていまし た。冷凍のナポリタンは、チンするだけで手軽に食べられて食器すらいらない日本で生まれたすぐれもの。めんどくさがりな男の一人暮らしにジャストミートし て笑いがとまりません。ぼくはことあるごとに買っています。くれぐれも5割引の時にまとめて買うようにしてください。大損するぞ!
 ぼくの研究室 はぼくのような人間の集まりなので、自然と一人暮らしの話題へ。壁にくっつけてないソファを固定して動かさないようにするにはどうするか? という話に、 100円ショップのくるくる巻いたゴムの滑り止めをぜいたくに敷くべきだ、はともかく、ドシンと座らないようにすればいいんじゃないか、気をつけて生活す れば一石二鳥だよ、とゴチャゴチャ言ってくるので、「そういう問題じゃねえんだよ! せっかく置いたソファ、ドシンと座りたいだろうが!」と狂い咲きのあ だ花になるのをグッとこらえて、「さてさて」と言いながらコンピューターの様子を見に行くことにしました。
 キィ。おそるおそるドアを開けたその時のおどろきったら。
 犬がいました。粉まみれのが1匹、立っていました。
 元気よく「ワン!」と鳴いた感じで、たぶん雑種だと一発でわかりました。
 雑種なのであんまりかしこくないので、キーボードのかけらを食べていました。口から”?”がのぞいています。
「ダメ!!!」
 ぼくらはかけより、こうして野球はまた1歩、つまりワン、前進しました。