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文学フリマとか何がどこでどうなってんだ

 このあいだ、人生に必要な知恵は全て『おやすみプンプン』から学んでいそうな大学生が、
バイリンガルですか?」
 と尋ねてきたので、バイリンガルでない私は黙り込んでいた。そして少し笑っていた。バイリンガルでないのにバイリンガルですかと聞かれて黙り込んでなぜか少し笑ってしまうのは私の悪い癖だが、世の中にはもっと悪い奴がたくさんいると思われる。
バイリンガルなの?」
おやすみプンプン』からでは、多くの人は正直言って人生にとって大切なことは学べずに卑屈のアクセルを空ぶかせするだけなので、世のなかの不幸を自分好みの手の届く範囲に再配置してしまうせいでこういう質問が出てくる。
 それでも私は静かに笑っている。不思議と、より穏やかな笑顔になっている。
「ほんとにバイリンガルなの?」
 常日頃から枕の下に杉浦茂『猿飛佐助』を入れている私は、正直言って猿飛佐助の夢を全然見ないので本当はそんなに思い入れが無いのかもしれないが、それでも『猿飛佐助』を読んでいるのは間違いないのですごく落ち着いた気分だ。むいたはっさくがいっぱい積み上げられている時の気分だ。
「違うんでしょ? ねえ違うんでしょ? ねえねえねえそうでしょ? だってそんなはずがないんだ。こんな二流の大学、って僕も通ってるけど、に通ってるような君が、だってしかも君の実家、秩父だろ? 知ってるよ。ほとんど知ってんだ君のことは。だからそんなはずないんだ。黙ってたってわかるよ。僕にはわかっちゃうんだ。バイリンガルなんて、ねえ、そんなさ。ねえそうでしょ? ウソついたってダメだ僕にはわかってんだから。ねえ。君! なんとか言えよ、答えろ! よせ! そんな顔で僕を、見るのは……見るのは…あ…ああ……あああああああああああああ!」
おやすみプンプン』を愛読する人の多くは発狂シーンに惹かれているというアンケート結果が出ています。それは、決して俺(これを書いている俺)はバカにしているわけではない、という形で出ているのです。私は言います。
「許してちゃぶだい」
 これ全て、杉浦茂を愛読しているからこそなせる業。一つ言えることは、浅野いにお的なマンガに出てくる人は「許してちょんまげ」とか言いそうだが、「許してちゃぶだい」の方がおもしろいということだ。
 僕はブログを全部消して小説をマジ書きする計画を立てているぞ。誰かバカにつける薬を買ってこい。甘〜いやつだ。