シュバイツアー潤之介のファッション革命

 肩で風切るオシャレボーイが服に比べたら安いなぁと思いながら購入するファッション雑誌「男のノンノ」。その専属モデル、シュバイツアー潤之介が今春に向けた、というより全人類の未来に向けた革新的なファッションをぶちあげたのが、そう、早くも伝説になりつつある二月号だ。
 売り切れ続出の二月号を幸運にもゲットしたラッキーボーイ達は、早速52,53ページを開いて欲しい。はっきりいってそこ以外はケツを拭く紙にもならない。それらが一月号に載っていたならば見るべきところもあっただろうが、シュバイツアー潤之助が新しいファッションを提案している二月号に掲載されているんじゃ話は別だ。最新号なのに時代遅れである。
 どうだろう、52ページを開いただろうか。はっきり言って俺は腰が抜けたね。見開きいっぱい使って、ベンチに足を組んで座っている、全裸のシュバイツアー潤之介がいるだろう。もちろん、局部は足を組んで巧妙に隠している。だが、問題はそこじゃない。シュバイツアー潤之介がベンチに寄りかかり、両手を広げて背もたれの上に肘をかけている、まさにその右腕に注目して欲しい。見つかっただろう、そう、青いキャプテンマークが。
 本来、スポーツ選手がつけるものなのに、シュバイツアー潤之介は、それをファッションに取り込んじまいやがった。しかもワンポイントじゃない、アクセントじゃない、主力だ。たった一つだけ身に着ける衣類に、よりにもよって、キャプテンマークを選択しやがった。アシックスのキャプテンマークを選択しやがった。
 シュバイツアー潤之介はベンチにくつろいでいるが、その目は鋭い。その視線がどこに向けられているか俺達にはわからない。だが、わからなくてもいい。俺達はキャプテンについてゆくだけだ。なんかごちゃごちゃヒモが出たり破れたりしてうざいファッションを捨てて。