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第五問――建築の将来をすべて考慮にいれた上で、問うべき基本的な問題は「どんな経済組織が支配的となるか」ということだとお考えになりますか? もしそうだとすれば、最も建築が栄えるのはどのような経済組織のもとですか? この質問は、建築と都市計画のた…

「ほんとにね、怠けているのよ、この子は」 「怠けている? そんなことはない。怠けているのはこの子ではない」 「怠けているのは誰だというのよ」 「だ、だれだか知らん。そ、それはだ、だれだか知らんさ」 僕は怒りで身体がふるえてきて物がいえなかった。…

足跡が、ぼくを、巣穴へ導く。奥にいるフェネックは、ぼくの足音に驚きながら、たぶんぼくの言葉を聞いているだろう。ぼくは彼に言う、<ぼくの小さい狐よ、ぼくは今度はさんざんだ、だが不思議なことには、こんなひどい目に遭ったことも、きみの生き方に、…

しばらくして、私抜きでレコーディングした曲「わすれじのレイド・バック」のサンプルレコードが届いた。上の方に「奥慶一…キーボード、マナ…コーラス」と、参加してくれたゲストの名前があり、そしてサザンのメンバーの名前がクレジットされていた。私の名…

「なぜ幸福な王子さまみたいになれないの?」と、ものわかりのよい母親が、月がほしいよと言って泣いている小さな男の子にたずねました。「幸福な王子さまはね、何かがほしいといって泣くなんて、夢にも思わないのよ」 ――(ワイルド「幸福な王子」『幸福な王…

まあ、ひとつ考えてみてください。たとえば、拷問ですがね。この場合は、その苦しみも傷も、すべて肉体的なものですね。ですからそれはかえって心の苦しみをまぎらしてくれるんです。ですから、死んでしまうまで、ただその傷のためにだけ苦しむわけです。で…

「出かけはしませんよ。この土地に残ります。ここで子供まで産んだんですからね」 「まだ死んだ者はいないじゃないか」と彼は言った。「死人を土の下に埋めないうちはどこの土地の人間というわけにはいかんのだ」 ――(G・ガルシア=マルケス『百年の孤独』鼓…

ポチは抱かれながら、身をもがいて大あばれにあばれ、わたしの手をなめ、胸をなめ、顎をなめ、頬をなめ、なめてもなめてもなめ足らないで、わるくすると、口までなめる。父が面をしかめてきたないきたないという。なるほど、考えて見れば、きたないようでは…

「ぼくがことばを使うときは、だよ」ハンプティ・ダンプティはいかにも人を馬鹿にした口調で、「そのことばはぴったりぼくのいいたかったことを意味することになるんだよ。それ以上でもそれ以下でもない」 「ただ問題は、そんなふうにことばにやたらいろんな…

Mさんは相手にせず、ただ黙って笑っている。勝利者の微笑である。けれども私は本心は、そんなに口惜しくもなかったのである。いい文章を読んで、ほっとしていたのである。アラを拾って凱歌などを表するよりは、どんなにいい気持のものかわからない。ウソじ…

「そう、結婚したし、今もしてるよ」つまらない話を始めたものだと後悔する。大きな泡が、ひどく大きくなって、ウサギの心臓におしよせる。子供のころ土曜の午後遅くどこからか帰ってきたときに、突然、これが――木とか舗道とかが――人生なのだ、それが現実に…

ベルリンの壁が崩壊したとき、ぼくたちはテレビの映像にくぎづけになった。そのときは、テレビのあの平面的で、表面的な画像が、まったく時代にふさわしいものに見えたものだ。いままでごまかしたり、隠したりされてきた、多くの情報が公開されるようになっ…

いいかい、これは単なる文字なんだ! それだけのことだよ! ――(フィリップ・ロス『いつわり』) 竹内さんの味付けは上手。いつもするすきやきよりおいしい。うちのやり方は、ずーっと間違っていたのかな。 ――(武田百合子『富士日記(上)』) 「たとえ、ど…